中澤秀一インタビュー(4/8ページ)

自治労連
10年でやっぱり生計費が上がってきているんだけど、特にこの2年っていうのが劇的にということなんですね。

中澤
2年というか、22、23、24の3年なんです。

自治労連
3年間、そうですね。

中澤
3年間なので、多分、困難度で言ったらコロナ禍を超えてると思うんですよ。コロナ禍って苦しいっていう人は出てきたのですけど、やはり一部に限られてると思うんですけど、今回の物価高騰はもっと影響を受けている人たちが大勢いるので、生活に対するダメージで言ったらコロナ禍の比ではないと思うんですね。

自治労連
コロナ危機の時は、出歩くことができなかったかもしれないけど、まあ別に普段の仕事にはそんなに…っていう人も結構いたと思うんです。今回は、その自分たちの生活なり仕事なりにかかわらず、あらゆるモノの値段が上がっていて、影響がない人がいないというか。

中澤
そういうことです。みんな買い物する、消費しているわけなので、影響度で言ったら桁違いですよね。だから賃金が上がらないと生活が立ちゆかなくなるのは目に見えている。でも、先ほどの豆腐屋さんも言っていたんですけど、豆腐の値段上げてもそんなに反発がないというか。いまの状況ではみんな上がっているから、豆腐だって上げなきゃいけないよね、というのは理解されているみたいで、値段を上げたからといって売り上げが落ちるということはないみたいです。ただ、それよりもコスト増の方が激しくて、売り上げは上がっているんだけど、利益がそんなに伸びていかないという感覚のズレが大きいと。「こんなに売れているのになんで儲からないんだろう」とおっしゃっていました。

自治労連
確かに。物の値段が上がること、それ自体は喜んでいる人は当然いないと思いますが、またか、と思いながらも、やむを得ないと思っている人が大半ですよね。
スーパーなんかで買い物しないわけにもいかないし、価格が上がることはやむを得ないとは思っている。でも、それが物価高騰前と同じような買い物ができるほど賃金も上がってないので、やはり苦しいっていうね。

中澤
でも現象的に言うと、内部留保はしっかりと積み上げていっているわけですよね。過去最高を更新しているっていうところで、やっぱり儲かっているところは儲かっているわけです。要するに原資はあるってことなんですよね。

自治労連
そう、2023年、法人税収が過去最高になったと国も言っています。「企業に、そうやってご負担いただいてありがたい」みたいなことを財務省が言っていたんですけど、いや、単価がいろいろ上がっているんだから、税収が上がるのはある意味当たり前です。

中澤
そうですね。だから消費税だってインボイスが入ったことで、実質増税になってるわけで、その分、増えているんですよね。
やはり、おかしいなと感じてる人はいっぱいいるので、もっとこういう問題が採りあげられないといけないと思うんです。

自治労連
いまだってインボイスって何だか知らない人いっぱいいますからね。

中澤
大勢いますよ。だからその辺のところがやっぱり理解されるように解説しないとといけない。やはり労働組合とか民主運動団体の役割だと思うので。

自治労連
内部留保の問題をもっと言いたいんですよ。

中澤
大企業がすごく利益を貯めているというのはなんとなく分かっているんだけど、結局、株主に還元しているから、株主から見ると、自分の利益になるのにつながることなので、なかなか言いにくいわけですよね。

自治労連
これは世界も一緒なんですけど、特に日本の資本主義がダメになったのは、やはり1980年代に株主への配当が異常に高くなってきた時期かなと思うんですよね。90年代には、それが資本主義のあるべき姿、みたいになっちゃって…。
だから、よく「お客様は神様です」みたいに言うけれど、企業ってお客様の方を見てないですよ。もう株主しか見てない。これを何とかしない限り、日本の大企業は多分もう転換できないと思っています。

中澤
でも、それは新自由主義が行き着いた先が、大企業だけ、富裕層だけが儲かるというか、そういうシステムになったので、そこを変えていかないといけない。なので、やはり内部留保はこれ以上溜まらないような仕組みにしていくとか、内部留保に課税するなど、そういうことを考えていかないといけない局面になってきたのかなと思います。

自治労連
企業が、ウチの内部留保にリミットをつけるなんて、絶対言い出すわけがないですよね。

中澤
絶対ないので、何らかの規制が要ります。このままでは、まだまだ止まらないと思いますよ。

自治労連
いま焦点になっている企業団体献金廃止がそこにつながりますけど、石破内閣では無理だな、とは思っています。

中澤
そうですね。だから国政選挙があるとか、また何か動きがあればいいと思うんです。

自治労連
参議院選挙は2025年夏に必ずあります。

中澤
物価高騰がそこまで続いているかどうかわからないですけど、やはり賃金の底上げとか、最低賃金というのが、また争点になると思います。どういう結果になるのかが気になります。

 

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