特別鼎談「災害に強い自治体をつくるために」(3/9ページ)

村山 先ほども話にあった地震と水害の違いですが、水害はある程度目に見えて起きているのがわかって、じゃあどうなったら解消されて終わりというのも、今回の台風みたいなものはある程度わかりやすいんです。台風が過ぎ去ったら影響はそこで止まって、じゃあ、あとは今ある被害をどうやって解消していくかということに特化できると思うんですけど、地震は一度収まってもまたいつ余震が来るかわからないんですよね。地震によるものと、台風や豪雨などの水害によるものでは、同じように家屋が被害を受けた場合でも、もしかしたらまた余震が来るかもしれない地震と、処理を迅速にすすめていくことに集中できる風水害では、復旧の段取りも違うのかなということを今回考えさせられました。

杉岡 千葉の事例なんですが、台風15号で屋根が全部吹き飛ばされてしまって、その応急処置でブルーシートを張ったのですが、それが今度は19号の強風で剥がされてしまい、そのあとに豪雨になって――

菊池 ありましたね。

杉岡 それで家のなかや家自体が駄目になってしまいました。15号のときに初動でもう少しなんとかできていればよかったのですが、普段ならなんでもない雨風のはずが、その前に一度被災したことで建物などが弱くなってしまっているんですね。それこそ台風なんていつ来るかは発生してみないとわからないし、ゲリラ豪雨もこの時代いつ来ても当たり前なので、こうした対応は早期にどんどんやっていかないと、困ってしまう一方だと思います。
当然、市役所の職員も困ると思います。「風で屋根が飛んじゃった」じゃあ台風の風害の処理をしていたら、「今度は雨が降った」じゃあ雨の対応もしなければならない。ただでさえ危機管理課以外の職員――たとえば市民課の職員が災害現場に行って、何かやってくれと言われても、まったく慣れないことなので大変なのに、それが災害対応の途中でまた災害となって状況が大きく変わってしまうというのはものすごく困難なことなんです。
よく言われているのが「市役所職員は自衛隊じゃないよ」ということ。一般行政職の職員はあくまで事務仕事がメインであって、そういった災害対応は慣れない畑でなんとかやっているものであって、自衛隊みたいに命令系統で「やれ」と言われたらなんでもやれるような人たちじゃないよ、と。そりゃ必要ならなんでもやるけど、そのためには相応の負担があるので、そうしたことを危機管理部局はきちんと考えてください――ということをよく聞きます。確かにそのとおりですね。

菊池 そうですね。行政としてあらかじめ事前に対応していくことでいえば、ハード面の対応と、あとソフト面として、いざ災害が発生したときに何を、どうすべきなのかという備えの両面で準備をしていかなければいけないと思いますが、災害なんて日常的にあることではないですから、実際に災害になると本当にはじめてのことだらけになるんですよね。そんなときに災害現場でいろいろ求められても、何をしたらいいのかわからないということは当然起きてくると思います。
杉岡さんは千葉をはじめさまざまな場所に災害支援ボランティアに行かれていますが、被災自治体の職員の様子などを見る機会はありましたか?

杉岡 千葉に行ったときに、クリーンセンターの職員の方だと思いますが、様子を見ました。災害ごみがどんどん搬入されてくるなかで不眠不休状態で働かなければならないし、ごみの分別もきちんとしなければならない。また、ごみが集積してある場所に収集に行かなければならないなど、大変な負担だと感じました。
僕ら危機管理部局は――言っちゃ悪いんですが、机上で指示するのがメインの業務になるんです。でも災害現場で対応している職員は、雨が降ろうが風が吹こうが黙々と作業をしなければならない。運び込まれるごみはどんどん増えていきますし、処理が追いつかなくて溜まっていく一方。1日作業して、「ようやくここが片付いた」となれば達成感や、やる気、モチベーションも上がると思いますが、1日やってもまたどんどんごみが増えていくような状態ですから、精神的にも先の見えない状況で作業するというのは相当きついんだろうなと思います。
ただ、そういう作業ができる方々は専門職じゃないですか。なのでたとえば僕らが行ったとしてもできることって少ないんですよね。逆に、たとえば交通誘導とか単純なことで僕らでやれることがあればやって、それで現場の職員が助かるならそういったことはどんどんやっていくべきじゃないかと思います。
逆に、現場の職員のほうも「これくらい自分たちでできるからいいや」じゃなくて、自分たちは専門職で自分たちしかできないことをやらなければならないから、そのほかのことはほかの部局に頼むとか、ほかの部局も災害対応でへばっているようなら、それこそボランティアに頼ってもいいと思います。そういったところの自治体の要請って、もっと柔軟にしてもいいのかなと思いますね。

 

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職員同士の連携と意識が大事だと学んだ

 

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