馬場利子インタビュー

このページは2022年4月26日におこなった、インタビューの内容を掲載したものです。

話し手=馬場 利子(ウクライナ希望のつばさSHIZUOKA共同代表)
聞き手=菊池 仁(静岡自治労連執行委員長)、青池 則男(静岡自治労連書記長)

 

ウクライナ危機のもとで平和憲法の価値が見直される一方、軍事力強化や改憲の策動が強まっています。また、7月には参議院選挙が行われます。日本が平和憲法と非核三原則を堅持していくのか、核共有や敵基地攻撃能力など戦争できる国に舵を切るのか、今まさに重大な岐路に立っています。こうしたなか県内でウクライナ避難民の支援に取り組んでいる馬場利子さんに平和や憲法の課題などについてお話を聞きました。

馬場 利子(ばば としこ)

1953年岐阜県生まれ。82年より静岡県在住。環境省環境カウンセラー。環境再生医。フリーライター。
主な著書に「誰のための憲法改『正』?自民党草案を読み込むワクワク出前講座」(地湧社、2016年)など。
未来に負債を残したくないという思いから、“健やかないのちを未来へ”をキーワードに、環境や生命にやさしく、幸せを実感できる暮らし方を具体化する活動を続けている。
健やかな命と暮らしを実現するスペース「プラムフィールド」代表。チョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故以後、食品等の放射能測定を続ける「静岡放射能汚染測定室」代表。静岡県内に避難してきたウクライナ人を支援する「ウクライナ希望のつばさSHIZUOKA」共同代表。

 

菊池 ロシアのウクライナへの軍事侵攻ですが、ロシア側にも理由はあるのだと思いますが、やはり戦争という手段に訴えるというのはどう考えてもよくないですね。

馬場 よくないです。他国に攻め込むなんて。

菊池 戦争によりウクライナの人びとは住み処を追われたり、命を落としたりしています。戦火に追われて他国に避難され、なかには日本に避難された方もいます。避難民の方々への支援活動をされている馬場さんは、今回のロシアのウクライナへの軍事侵攻をどう見ておられますか。

馬場 私は市民活動を続けるなかで、日本のシステムを行政と一緒に変えていくためには、法律を知らないといけないと知りました。なので、50歳を過ぎて法学部に入り直して、政治・経済・法律を学びました。そのときに憲法に出会いました。市民活動をずっとやってきて、人権のことなどを考えたときに、憲法の前文を思い出すと今でも鳥肌が立ちます。こういう憲法の下だからこそ私たちは生活ができていて、でも私たちはそれを知らず、これまで大事に育てるということをしてこなかったんだと気づきました。憲法の真髄と言うべき非武装の平和条項を、みんながもっとちゃんと知らないといけない。
私は平和憲法のもと、武器を持って他国に行かないということは、戦争を食い止める第一番のことだと思っています。ウクライナとロシアにどんな関係や理由があっても、他国に武器をもって攻めることは理由など関係なく私は「ダメ!」と思っています。
だから他国とのことでいざこざやすり合わせができないことがあれば、どこまでも話し合いで解決する。その結果、ロシアとウクライナが経済制裁をしたり、国交を断とうとも、とにかく戦争はダメだと思っています。
蒙古の時代ならいざ知らず、今はそんな時代ではありませんし、国際法もあります。他国が攻めてくることを仮定してみんなのお金で武器を買うのか、そうではなく他国と仲良くすることにお金をかけるべきかということは、生活者なら当たり前に分かっていることだと思います。
だから、ロシアとウクライナのこの戦争を見て、機に乗じて自衛隊の予算を増やそうなどと言っている方たちは、はじめから戦争が好きなんだと思うんです。武力をもって相手との関係を築くという方法は日本人はしてはいけないし、「嫌だ」と言ったのが日本国憲法です。

菊池 日本国憲法の上では自衛隊があること自体が整合性つかないことですからね。自衛隊もつくられた当時は純粋に日本を守るための組織だったのかもしれませんが、それがだんだんと変えられてきて、今は集団的自衛権と日米安保条約のもと、アメリカが海外で攻められたら日本も一緒になって戦うことができる自衛隊に変わってしまいました。

馬場 憲法違反ですね。

菊池 今度は敵基地攻撃能力が議論されています。

馬場 従わないやつはやっつけろ!ということですよね。

菊池 そういう自衛隊に性格が変わってきています。こちらから攻めていくことができる戦力は、本来どこの国であっても持つべきではありませんね。

馬場 どこの国であっても持つべきものではないですね。そうなっていないですけど。

菊池 それを「他国が攻めてきたらどうするのか」という議論にすり替えをしている感じがしますね。

馬場 ウクライナはチョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故の避難区域で、避難民の方々は一度原発事故で避難して、なおかつ今回戦争で祖国を追われてしまいました。立入禁止区域を制圧したロシア兵も放射線被ばくの急性障害が生じています。どんなことがあっても、みんなで健康に仲良く生きていこうを思う私たちは、理想主義者と言われようとも人に命令されて戦ったり、人を殺したくない。そうしなくていい憲法を私たち日本人は持っているから、権利としてそう言える。そういう憲法を持っていない他国の人たちも、本当は基本的な人権として言っていいのです。「戦いたい人はどうぞ。僕は22歳だけど、子どもは小さいし、奥さんと一緒に逃げるよ」ということは、国賊でもなければ、卑怯者でもないです。それが判断できなくなっているような紛争は、元をただせば武器を持っているから起こることなのです。

菊池 そうですね。

馬場 万が一、平和憲法が変えられてしまったら、その「イヤ」という権利もなくなってしまいます。もし仮に自分の子どもが戦争に行って人を殺してしまったら、その後、心を病んで、トラウマになってしまうと思います。そんなことは日本国憲法の下では起きないという幸せを「理想主義者」と言うのだったら、理想に近づくように生きていくのが人間だから、私は与えられた権利を軽々に手放したくない。誰が何と言おうと「イヤものはイヤ」と言おうと心に刻みました。「女性たち立ち上がろう」ではなく、男性だって同意してくれる人がいると思う。

 

次のページ >>
日本語が通じないとか文化が違うとか言っている場合じゃない

 

前のページ 1 2 3 4 5 6 次のページ

▲ このページの先頭にもどる

© 2017 - 2022 静岡自治労連(静岡自治体労働組合総連合)