馬場利子インタビュー(3/6ページ)

馬場 今回のことは、紛争が起こったことはいけないし、どうしたらいいのかわからないけど、ものすごく学ぶところがあると思っています。機に乗じて自衛隊の拡充や、予算が増やして武力を持つなんてことにならなければ、平和のことや、国際的にどう協力していくかをみんなが考えることができるいいチャンスだと思います。自衛のために戦う方向に向かうのは進歩でもなければ防衛でもないと思っています。

青池 世界中が憲法9条を持っていれば。

馬場 そうなんですよ。そういうふうに世界がなったら武力なんていらないと思うのに、そうならないのは軍需が一大産業だからでしょうね。
浜岡原発反対の運動のときに「原発で働いている人もいるのだから、仕事がなくなったら困るもんね」という声を聞きました。「兵隊さんの職場がなくなったらいけないから戦争を続ける」なんてみんな言うかな…とも思いましたが、「今の生活が変わったらどうしよう…」と不安に思う人もいます。そんなときは「もっといい職場があるかもしれないし、放射能は怖いし、原発はないほうがいいよね」ということしか私は言えないですね。
私は、憲法を一字一句とも変えてはいけないとも思ってはいません。今、自衛隊を憲法に明記することが言われていますよね。自衛隊を国際救助隊にしたいというのが私の夢です。

青池 サンダーバードですね。

馬場 「サンダーバード ARE GO」というか、その人たちはお給料をもらって、災害救助に来てくれたり、戦争や紛争が起こっていても救助隊だからけが人を助けるとか、武器を持たないで食料を落としていくとか、そういう任務であれば税金を使っていただいていいと思う。
「私たちはどこの国の人たちでも助けが必要なときは、日本人として、平和の憲法のもと、皆さんのところに救助に行きますよ」と。それが「サンダーバードARE GO」で育った私たちの世代の夢なんですね。もし憲法を改正すると言うならば、いの一番に「自衛隊を国際救助隊に変えてください」って言います。

菊池 自衛隊が災害救助で頑張っているから、憲法上に明記することで地位を高めようということを言う人がいます。でも実際、今の自衛隊は戦う組織なんです。災害救助は本来の業務ではなく、そういうふうにも活用されているというだけなんですね。だからそれを本来業務にする。

馬場 国内救助隊ではなくて国際なんですよね。

菊池 それはすばらしいことですね。

馬場 何も国際貢献をしないわけではなくて、私たちはいつも平和のために力を尽くしたいと憲法前文にも書いてあるし、そう思っているのだから、憲法を変えたいのならそこを変えるべきではないでしょうか。

菊池 今回の戦争で、世界平和について考えるきっかけになると言われました。私は日本がいまの憲法のなかで9条を広げていくきっかけになればいいと思うんですけど、今逆にアメリカの核兵器をいっしょに持とうとか、敵基地攻撃能力を持とうという議論も出てきています。このことは憲法を変えていこうという動きの1つではないかと考えています。

馬場 国際連合の“世界が協調して平和な世界をつくろう”という憲章もあるし、それは日本国憲法とほとんど同じ条文になっています。世界が目指しているのは、日本が誓ったことと同じだと私は思っています。
国と国の間でいざこざが起こることは仕方ありません。でも「敵国」と言ってはいけないと思います。人間関係で「○○は敵だ」なんて言えば、もう関係は修復不可能ですよね。
苦手な人や意見が異なる人がいても、「意見は違うけど、できることあるよね」「敵国という呼び方はやめましょう」「そんなことを人間関係で言えば村八分だよ」ということを私は言っています。

 

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