活動報告

憲法をいかした外交・避難民支援・多文化共生社会について浜松市と懇談―「2022憲法キャラバン」

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新型コロナの影響で3年ぶりの実施となった「憲法キャラバン」が、6月23日(木)、浜松市を皮切りにスタートしました。今年のテーマは、ウクライナ情勢による憲法をいかした日本の外交・支援の在り方、避難民支援の拡充、自治体の多文化共生社会についてです。
浜松市には、ジュビロ磐田所属のアレクセイ・コシェレフ選手が声を掛けて5月末に避難してきたウクライナ人の家族がいます。浜松市とのキャラバンは、県本部の菊池委員長、中村特執、浜松市職の良知委員長、川瀬書記長が参加し、市当局から仲井秘書課長、鈴木国際課長、加藤国際課長補佐が対応しました。

はじめに菊池委員長から「憲法をいかしたウクライナへの平和的・人道的支援、ウクライナ避難民への支援拡充、多文化共生社会についての要請書」を提出し、「ウクライナ情勢は一層深刻になっている。国際法や国連憲章に違反したプーチン大統領の行動は、世界各国から批判の声が上がっている。一方日本では、ウクライナ情勢に乗じた『核共有』や防衛費増強など『軍事対軍事』の議論が起きている。いま必要なのは、あれこれの価値観で世論を二分するのでなく、ロシア政府による国際法違反で世界が一致して抗議し、日本は憲法9条をいかして世界と連帯していくことだ」と訴えました。また、「静岡自治労連は、ウクライナから静岡市に逃れてきた避難民のご家族に取材し、日本の支援のあり方、多文化共生についての要望を聞いた」と要請項目を説明しました。

仲井秘書課長はウクライナ侵略について、「要請に書かれていることは、共有してやっていかなくてはならないと思っている。浜松市は11年前に『平和都市宣言』をしており、平和都市の一員として為すべきことをしていく。また市長も国へ要請することがあれば個人のネットワークを活用していくと言っている」と要請内容を積極的に受け止めてくれました。

また、避難民への支援が自治体によって格差を生じている問題について、鈴木国際課長はより「紛争地域からの受け入れというはじめてのケースで、法的に整備されていないという面がある。林法務大臣は避難民制度の創設を含めた議論をスタートさせていくと言っている。早期に制度設計してもらいたい。他の先進国は難民の捉え方の範囲を広めに取っているので難民を支える制度も充実している」と日本の難民対応の現状が語られました。
浜松市の具体的支援について仲井秘書課長は、「市民の寄付金やふるさと納税を活用して生活支援を一時金として支給している。単身30万円、世帯50万円。しかし、他の地域へ避難された方は支援内容が違うという現実はある」と格差の現状について語られました。
また避難された方の住居については、「市営住宅に入ってもらっているが、家財を揃えて入居するのが基本となっているので、一時金支給で調整させてもらっている」と説明しました。
さらに鈴木国際課長は、「庁内に連絡会を開設して、子育て、高齢者、福祉、住宅、学校教育など関係各課による連絡体制を取り、就学支援、幼児教育など、どういったパターンにも対応できるようにしている」と、スムーズに対応するための支援体制について説明されました。
国の支援金が日本に身寄りがある・ないで対応が違う問題については、「確かに国は身寄りのない方とある方で線引きしている。身寄りのない方は生活保護費を基準に生活支援金を支給し、ある方へは支給していない。ただし、身寄りのある方へは日本財団が1000人分の渡航費、生活費の予算を組んで支援を始めている。生活費は年間100万円、最長3年間まで支給される」と、国の支援がゆき渡らない部分の補てんについても説明がありました。

多文化共生社会の取り組みについて仲井秘書課長は、「1990年以降の改正法によって、一時期3万人以上の外国人が浜松市にいた。30年の間にさまざまな問題に対処し支援を行ってきた」と、ウクライナ避難民への対応もいち早くできた歴史的背景が語られました。
また鈴木国際課長は、「言語教室や就労支援は他の自治体と比べても進んでいる。企業によっては、言葉が通じなくても就労可能というところもあるが、片言の日本語は話せるようになったほうがよいという思いで、本市直轄の日本語教室を全国に先駆けて取り組んでいる」と外国人の自立サポートについて説明がされました。
さらに『言語の壁』による子どもたちの不登校について仲井秘書課長は、「市内約6万2千人の小中学生がおり、約1800人が外国人、その内約1100人が日本語の支援が必要だと言われている。市は『外国人の子どもの不就学ゼロ作戦事業』を実施しており、住民基本台帳と外国人学校の名簿をすり合わせ、不就学の子どもを一軒一軒家庭訪問し、さまざまな問題に対応している。すぐには学校に通えない子どもは、市内に3カ所ある就学支援教室に6カ月通ってもらい支援を行っている」と手厚い対応が説明されました。

最後に今後の避難民支援について鈴木国際課長から、「避難民の方々の気持ちは祖国ウクライナにあるので、今回の避難は一時期的なものだと考えている方もいると思う。今後、祖国に帰れる状況になれば積極的にバックアップしていきたい。しかし、どうみても戦況が収まりそうになく、このままいくと支援の仕方も読めない。それが不安材料となっている」と今後の課題が出されました。
菊池委員長は、「避難民の方々の心情を思うと戦争が早く終わってほしい。そのために私たちの要請の趣旨を国へ伝えてほしい。また、長い目で見た避難民支援の拡充も行ってほしい」と訴えて懇談を終わりました。

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