第171号の記事
学校給食も清掃も自治体直営でこそ
浜松市職が「現業まつり」で市民にアピール
浜松市職は、昨年11月に実行委員会主催で「現業まつり」を開催。700人以上の市民に、美味しくて安全な学校給食や公衆衛生や災害対応に欠かせない清掃業務の役割などをアピールしました。アンケートには「作業内容がよくわかった」「委託で丸投げはダメ」などの意見が寄せられました。
新春インタビュー
最低賃金は賃金・社会保障と密接な関係
全国一律最低賃金の実現で拡充を

中澤 秀一
静岡県立大学短期大学部准教授
なかざわ・しゅういち 1967年生まれ。静岡県立大学短期大学部社会福祉学科准教授。専門は社会政策、社会保障。2010年以降、静岡県をはじめ、全国の最低生計費試算調査で監修を務める。2019年に最低生計費研究の第一人者として自民党最低賃金一元化推進議員連盟のヒアリングに招かれた。近著「最低賃金制度の再考―生計費視点からの見直し」(『社会政策』第15巻第3号、ミネルヴァ書房、2024年)
「物価高騰を上回る賃上げ」を誰もが求めるなか、25国民春闘では最低賃金(以下「最賃」)引き上げと全国一律最賃制度の実現をめざす運動が焦点になっています。賃金と社会保障、また、最賃運動の基礎となる最低生計費について静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授に聞きました。(本文では、中澤准教授を「中澤」、聞き手の静岡自治労連小泉治書記長を「自治労連」と表記しています)
必要な費用を科学的に示す最低生計費
物価高騰で最低生計費も上がっている
自治労連 最賃の根拠の一つに生計費があります。そもそも生計費とは何でしょうか。
中澤 労働者は労働力という商品を売って賃金に変えて生活している。その労働力の再生産にかかる費用が、まさに生計費です。それは自分自身だけでなく、子どもにかかる費用などの次世代を含めてという意味です。
自治労連 必要な生計費を科学的に示した最低生計費とはどのようなものでしょうか。
中澤 ブラックボックス化された(国の)標準生計費に対して、マーケットバスケット方式で可視化したのが最低生計費です。科学的に積み上げているので、エビデンス(裏付け)があり、信頼がおけるものになっていると思います。
自治労連 15年くらい前に静岡の最低生計費試算調査を始めました。
中澤 その頃は労働組合関係者でも最賃に関心がある人はあまりいなかった。いまとは隔世の感があります。
自治労連 この3年ほどで物価が大幅に高騰しているいま、静岡でも最低生計費をアップデートしようという動きになっています。
中澤 最低生計費は確実に上がっています。埼玉で2016年と24年に調査しましたが、8年前と比較すると税・社会保険料を除く生計費は13.6%上昇していた。物価高騰を上回らなければ賃上げしたことにはならない。物価上昇自体は悪ではないと思いますが、賃金の上がり方が鈍いので生活を直撃しているというのが拭い切れません。
労働運動は社会に対する交渉も大事
新自由主義が当たり前の世代にどう展望を示せるかがテーマ
自治労連 公務員や正規労働者にとって、最低賃金はどう関係するのでしょうか。
中澤 公務員は最賃を守らなくても法律違反にはならないけれど、最賃を下回っているのは、やはり恥ずかしいじゃないですか。最賃改善で好循環、地域循環を生み出すなら、巡り巡って自分たちにも影響が出てくるというのが、わかりやすくなってきたのではないでしょうか。いちばん象徴的なのは徳島県の後藤田知事のパフォーマンスだったと思います。若者がどんどん流出してしまう状況の中で、政治が介入して最賃を変えさせたことが、地方中心に広がっ
ていくのか注目したい。
自治労連 賃金や社会保障と最低賃金はどういう関係にありますか。
中澤 大きい視点では、我々の生活は賃金だけで成り立っているものではないということです。日本は賃金に依存した社会で、社会保障をおろそかにしてきたのがいまの社会のぜい弱さにつながっている。また、少し小さい視点で言うと、賃金と社会保障は密接な関係で、最賃が上がれば年金や生活保護など社会保障制度が充実していく。やはり、お互いに高めあうようにしていくことが必要です。労働運動にとって、個別の交渉だけでなく、社会に対する交渉も同様に大事です。

全国一律最賃制度の実現に向けたアピール行動(2024年4月・静岡市)
自治労連 一方で、社会保障に対して批判的な若年層が増えています。
中澤 いま国民の負担率がすごく増えていて、若年層はそれが納得いかない。新自由主義が当たり前の世代が増えているわけです。「最賃上げろ」と要求するより「転職して高い賃金を手に入れればいい」という価値観です。自分さえよければいいというところが出やすくて、誰かと連帯して社会を変えていくという発想がなかなか生まれない。これを変えるのは結構大変です。その時に、どういう展望を示せるか、というのがこれからの労働運動を考えるテーマですよね。そもそも社会保障って、自助だけでは生きられないから公助としての社会保障が歴史的に登場するのです。そう考えれば、自助ありきが最初に来ることがもうおかしいわけです。
自治労連 最後に、最低賃金を全国一律にして格差をなくすという運動についての考えは。
中澤 最賃だけでなく、生活保護も地域手当も、地域ごとに差をつけるということの悪影響がすごく出ているので、やはり全国一律の制度にしていくというのは大事なことですよね。
この記事は2024年12月23日に行ったインタビューより、一部抜粋・編集したものです。インタビューの全容はこちら
3・1ビキニデー
日本被団協ノーベル平和賞受賞
2025年を核廃絶・世界平和の年に

第五福竜丸元乗組員の久保山愛吉さんを悼む墓参行進
日本被団協のノーベル平和賞受賞で、核兵器廃絶めざす機運が高まっています。25年を核兵器廃絶と平和実現に向けた年にするため、3・1ビキニデーを皮切りに静岡でも奮闘していきましょう。
混沌とする世界情勢のなか核兵器廃絶への機運高まる
いま核兵器廃絶をめぐる世界情勢は非常に混沌としています。ロシアによるウクライナ侵攻から間もなく3年となりますが、ロシア政府は核兵器使用をちらつかせ、収束も見通せません。また、パレスチナのガザ地区でのイスラエルとハマスの戦闘は1月20日に6週間の停戦が合意されたものの、終結に向かうかはいまだ不透明です。紛争の長期化が世界情勢にも大きな影響を及ぼし、世界的な物価高騰の要因にもなっています。
こうしたなかで迎えた2025年は、戦後80年、そして被爆80年を迎える節目です。昨年、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞し、核兵器廃絶と世界平和の実現に向けた運動を大きく前進させようという機運が高まっています。

国内外から1500人以上が参加し、核兵器廃絶をアピールした昨年の3・1ビキニデー
3・1ビキニデーを成功させ25年を平和運動前進の年に
「平和でなければ安心して働き、くらすことはできない」との立場で、静岡自治労連は長年にわたって平和運動や核兵器廃絶の運動にも連帯して活動してきました。
焼津漁港の第五福竜丸がビキニ水爆実験で被災してから71年目の3・1ビキニデーが、2月27日から3月1日にかけて静岡市・焼津市で開催されます。多数の参加で3・1ビキニデーを成功させ、8月の広島・長崎につなげていきましょう。
静岡自治労連2024年スポーツ大会
野球・バレーともに静岡市労連が優勝
昨年11月、静岡自治労連2024年スポーツ大会を開催。16日に島田市内で女子バレーボール大会、30日~翌1日に静岡市内で男子軟式野球大会をおこない、いずれも手に汗握る熱戦の結果、男女ともに静岡市労連チームが優勝しました。

女子バレーボール大会
(島田市立金谷体育センター)

男子軟式野球大会
(静岡市狩野橋スポーツ広場)