7月3日に熱海市の伊豆山地区で発生した土石流災害は、10月28日時点で死者26人、行方不明者1人、136棟・143世帯が被災するなど、甚大な被害をもたらしました。被災地では熱海市職員が自らも被災しながら24時間体制で災害対応に奮闘。自衛隊・消防・海上保安庁・警察が救出・救助活動を行い、いまもなお警察による行方不明者の捜索が続いています。
静岡自治労連は7月7日には義援金・支援金を県内各単組に呼びかけ、15日には全国でも災害救援カンパが呼びかけられました。この呼びかけに県内・全国から5,541,693円ものカンパが寄せられ、熱海市と熱海市職連にそれぞれ寄贈しました。
11月26日(金)、静岡自治労連と自治労連本部は義援金・支援金の寄贈に熱海市を訪問。静岡自治労連から菊池執行委員長、青池書記長、内田執行委員、自治労連本部から長坂副中央執行委員長、小原中央執行委員が参加。また地元・熱海市職連から小島中央執行委員長(危機管理課・防災担当)が参加しました。
午前中は小島中央執行委員長の案内で被災地を視察。土石流の起点付近や被災地を見て回り、小島中央執行委員長より当時の状況や被災地・被災者の現状、災害の影響などについて説明を受けました。
同日午後から熱海市の齊藤栄市長を訪問。長坂副中央執行委員長より目録を手渡すとともに、被災された住民へのお悔やみとお見舞い、市長をはじめ熱海市職員の奮闘に敬意を表し、また職員が安全・安心して働ける環境整備や、土石流災害の再発の危険が言われるもとで今後の安全対策を切に要望しました。
これに対し齊藤市長から義援金・支援金に対する感謝とともに、「限られた人員のなかで様々な災害対応や避難所対応、盛土の検証などを通常業務と並行して行うのは大変なことだ。職員は本当によくやってくれたと思う」と職員を労う言葉と、メンタルケアを含めた被災住民への対応や地元の声を丁寧に聞いての復旧・復興に向けて「長い取り組みになるが一歩一歩やっていく」という決意が述べられました。
また、自治労連から「災害対応職員がいつ倒れてもおかしくないほどの時間外労働をしている」「ぜひ人員を増やしてほしい」という要望に対し、「基本的にはその方向(人員増)で考えている。特に福祉部門など外注が困難で、住民に直接接するところは増やしていく」と前向きな回答がありました。
その後、熱海市職連の大川副中央執行委員長(水道温泉課・管工事技師)、佐藤書記長(都市整備課・用地担当)を交えて被災当時の状況や職員の現状などについて懇談。
災害時にそれぞれの部署で特に苦労したことでは、「被災現場にたどり着くことすら困難ななかでの水道の復旧」、「高齢者の多い地域での給水活動」(大川)、「通常業務とは別に避難地班の職員としての避難所対応」、「膨大な公文書開示請求への対応」(佐藤)などが挙げられ、県や国に対する要望では、「権限移譲事務が多すぎる」(小島)などの意見が出されました。
また災害に強い自治体づくりに向けた意見では、「防災備蓄品や機材・給水車など日頃から点検の必要性」(大川)や、「復旧・復興に向けた用地交渉・用地買収でも経験とノウハウが必要」(佐藤)、また災害を完全に防ぐことが困難なもとで、「ハザードマップの確認や防災備蓄品の用意など住民一人ひとりに防災の意識付けを行うことの大事さ」(小島)や、いざ災害が発生したときは「行政が一丸となっての対応」、「初動対応の重要性」、「災害対応ができる十分な人員」(小島)などが語られ、最後に住民と行政が共に防災に取り組むため、住民自治をどう育てていくかの課題も出されました。