第160号の記事
- ミニ報告記事「シトラスリボンプロジェクト」
- 現業職員の人員拡充・体制強化を
- 2020~21年働くみんなの要求・職場アンケート中間結果
- 新春にあたって21国民春闘の課題と展望
- コロナ禍の1年 各地で仲間が奮闘
- 流れ星★
- ナイスな人
愛媛発・差別や偏見のない社会をめざして
「シトラスリボンプロジェクト」の輪広がる
新型コロナウイルスの感染者やその家族、医療従事者などへの差別や偏見が社会問題になるなか、感染症を正しく理解し、感染者を「ただいま」「おかえり」と迎えられる地域をめざす「シトラスリボンプロジェクト」への賛同が全国で広がっています。島田市では材料や作り方の説明書が入った製作キットを市民・職員に配布し、啓発活動に取り組んでいます。
地域住民のいのちと暮らしを守る現業職員の人員拡充・体制強化を
勝ち取った!23年ぶり新規採用(伊東市 保育園調理員)
全国の現業職場では、長年の退職不補充や民間委託で人員が減らされ続け、限界まで疲弊しています。一方、多発する災害や民間業者の委託返上などで現業労働者の公務公共性が見直され、人員拡充・体制強化を求める声が高まっています。こうしたなか、伊東市職労連では長年の要求が実を結び、23年ぶりの現業職員新規採用を勝ち取りました。
長年の要求が結実し新規採用が実現
伊東市の現業職員は退職不補充方針のもと20年余りで100人以上が減らされてきました。伊東市職労連では、市内公立保育園4園に1人ずつしか配置されていない正規の給食調理員が、20年度末に2人が定年退職し、このままでは給食の提供に支障が出ることや、清掃職場では19年に始まった「ふれあい収集」の利用者増や、可燃・不燃ごみの搬入量が増加するもとで人員配置が間に合わなくなっている実態などを訴え、公務公共サービス維持のため現業職員の新規採用を要求し続けてきました。
市当局も人員削減が限界を超え、住民サービスの維持・拡充に支障をきたしていることを認め、不補充方針を事実上撤回。昨年6月より21年度からの採用再開に向けて交渉を重ねてきました。
その結果、保育園調理員の退職補充を21年度から行うことをはじめ、現行の公立保育園は引き続き直営で行うこと、清掃職場についても一定の直営業務を残していくことが約束され、そのために正規による職員採用計画を作っていくことなどが確認されました。
賃金格差是正を求め今後も運動を継続
しかし、残された課題も多くあります。市当局は当初より新規採用に際して国の行政職二表の導入に固執しており、応じなければ採用は見送ると、頑なな態度を取り続けてきました。
行政職二表は、国が現業の仕事を「単純労働」と決めつけ不当に低賃金を押し付けるものであり、退職金や年金などへの影響もあわせて非常に大きな賃金格差が生じます。
伊東市職労連では「同一価値労働同一賃金」の原則に立ち、行政職二表の導入に反対。誇りを持って働き、安心して生活できる賃金制度を求めて交渉を重ねました。団体交渉では「現業の仕事は専門性の高い誇りある仕事」「こんなに低い賃金ではチームワークが保てない」など訴えるとともに、保育園職場の仲間で「寄せ書き」を作り、市長に思いをぶつけました。
その結果、行政職二表は導入されたものの、当初提案より生涯賃金格差を大幅に縮める昇給運用を勝ち取りました。伊東市職労連ではなお残る格差是正のため、交渉を継続していきます。
公的保育を守る上でも嬉しい成果
伊東市職労連保育園支部
支部長 木村 菜美子 さん
私たちの長年の要求が実を結び、技能労務職の新規採用再開が実現することになったのは、伊東市の公的保育を守っていく上でもとても嬉しいことです。
処遇条件は必ずしも納得できるものではなく、交渉の決着が遅れ年度当初からの採用が間に合いませんでしたが、今回の成果と課題をみんなで確認し合って、さらなる処遇改善とよりよい保育を実現していくために頑張っていきたいです。
新規採用に向けて各市で運動すすむ
浜松市では合併後、民間委託や退職不補充によって現業職員は3分の1ほどに減少しました。こうしたなか浜松市職現業部会では、市民に私たちの仕事を知ってもらおうと、毎年「学校給食まつり」を開催。来場した市民に安全でおいしい直営の学校給食をアピールし、一昨年20回の節目を迎えるなど好評を博しています。
また、定期的な会議開催のほか、他自治体の組合とリモートで交流し、新規採用を勝ち取った経験や教訓を学ぶなど、学習と団結を強める取り組みをすすめています。
今年1月には、「新規採用再開を求める要求書」を市当局に提出。また、新型コロナ対策や、中山間地のごみ収集における住民サービス向上、災害時対策を含めた人員の確保などを求めました。
今後も交渉を重ね、新規採用に向けて一丸となって頑張りたいと意欲を燃やしています。
賃上げ 人員増 コロナ対策 声を集め要求勝ち取ろう
2020~21年働くみんなの要求・職場アンケート中間結果
静岡自治労連では、今年も働くみんなの要求・職場アンケートに取り組み、1月20日現在18単組・支部5417人(独自アンケート分を除く)から回答が寄せられています。組合員からの要求・声を力に、21国民春闘・職場要求の実現に全力で取り組みましょう。
もっと賃上げをの声 停滞する生活実感(生活・賃金)
生活実感は「まあまあ」(46・9%)、「やや苦しい」(35・7%)という回答が多く、収入は前年と比べて「変わらない」(57・7%)、「増えた」(25・9%)が大半を占め、月額あといくら必要かの質問では、「5万円」(32・1%)、「3万円」(19・9%)が多くありました。
月給制・年棒制の人は現在の賃金月額「20万円以上25万円未満」(30・1%)、「25万円以上30万円未満」(21・1%)が多く、賃上げ要求額は「3万円」(22・3%)、「5万円」(20・6%)、「1万円」(19・3%)となりました。時給制・日給制の人は時給「1000円台」(22・5%)、「1200円台」(13・8%)、賃上げ要求額は「100円」(25・9%)、「400円以上」(23・5%)となりました。
やりがいあっても苦しい労働環境(残業・休暇)
直近1カ月間に残業手当がきちんと支給されたのは「10時間未満」(48・4%) がもっとも多く、次いで「残業なし」(28・7%)、「10時間~20時間未満」(13・9%)となりました。対して持ち帰りも含むサービス残業の有無では「なし」が45・3%、「10時間未満」が36・7%でした。また、「申請しづらい雰囲気」(34・1%)、「短時間の残業だから」(21・7%)などがサービス残業が生じる理由としてあげられました。
年休の取得日数は「6日~11日未満」(33・2%)、「0日~6日未満」(29・0%)が大半を占め、取得がすすんでいない実態が明らかになりました。
仕事のやりがいについては「まあまあある」(59・1%)、「非常にある」(15・8%)と、やりがいを感じている人が多いものの、心身の疲労について「毎日非常に疲れる」(32・1%)、「たまに非常に疲れる」(28・6%) との回答が多く、職場の人員は「足りない」(69・8%)が圧倒的でした。
賃上げ・人員増など労働条件の改善を(職場への要求)
仕事や職場で不満や不安に感じることの質問では、「人手が足りない」(16・9%)、「賃金が安い」(15・4%)、「休暇が取れない」(9・6%)、「仕事がきつい」(9・1%)などが上位の回答でした。また、「成果・能力主義が強まっている」(2・3%)、「ノルマがきつい」(0・9%)など、昨今攻撃が強まる能力成果主義に関する回答もありました。
働く条件の改善で実現したいものは「賃金・一時金の引き上げ」(20・8%)がもっとも多く、「人員を増やす」(17・4%)、「年休取得促進、休暇増」(13・0%)が続きました。
新型コロナの影響は 安心して働きたいの声(コロナ対応)
新型コロナの収入への影響は「変わらない」が85・3%、「減った」は12・8%でしたが、20人勧と確定闘争の遅れから、アンケート実施時期には影響が限定的だった可能性もあります。
新型コロナの影響で最大何時間の残業があったかでは「残業なし」(57・0%) が最多でしたが、過労死ラインである80時間を超える残業も合計1・2%ありました。
緊急事態宣言に関連して取られた措置は「特になし」(42・7%)が最多で、「時差出勤」(13・6%)、「シフト勤務」(9・8%)が続きますが、「有給休暇の強制取得」(8・3%)、「人員整理」(3・3%)などあってはならない措置も見受けられました。また、今後見直すべき点として「感染拡大防止の職場環境整備」(20・6%)、「マスクなど衛生資材の備蓄」(18・0%)、「PCR検査の拡充」(13・2%)などが挙げられました。
政治・社会を変える21国民春闘にしよう(政府への要求)
政府に対する要求では、コロナ禍のもとで脆弱さが明らかとなった「医療・介護・保育の充実」(19・6%)がもっとも多く、「最低賃金引き上げ・全国一律制導入、公契約法・条例制定、均等待遇の実現」(11・5%)、「長時間労働の解消、労働安全衛生強化、裁量労働制の拡大反対」(10・4%)など、安心して働き続けられる賃金・職場環境を求める回答が続きました。
また、「消費税廃止・引き下げ、大企業・富裕層への課税強化」(9・8%)、「景気・物価対策、中小企業振興」(8・1%)、「年金・生活保護制度の拡充、失業者の生活保障」(8・0%)、「地域経済の活性化、持続可能な地域づくり」(7・9%)がこれに続き、自公政権がすすめてきた大企業・富裕層優遇の政策ではなく、地域の中小企業や住民が安心して暮らせる社会を求めていることがうかがえました。
アンケートを力に交渉重ね実現へ
各組合ですすむ労働条件改善
各組合では、アンケートの集約結果や自由記述で寄せられた声などをもとに、職場要求の討議や要求書の作成、職場の問題を把握するとともに賃金・労働条件の改善に取り組んでいます。
伊東市職労連では、毎年2月に開催している春闘職場会議で、アンケート結果や各職場会議で上がってきた意見をもとに要求書を作成。保育園調理員の新規採用を勝ち取ったほか、当初パートタイム提案だった会計年度任用職員の勤務時間をフルタイムに。有給休暇などの休暇制度も正規職員と同様としました。
浜松市職では、アンケート回答にあった「PCR検査誘導の特殊勤務手当が4月以前は対象外とされた」という記述を受け、即座に担当課に確認。さかのぼっての支給を認めさせました。
また医療部会では、県内病院労組のアンケート結果を比較し、他病院の実態を参考にしながら自分の病院の労働条件改善に取り組んでいます。
引き続きアンケートに寄せられた組合員の声を力に要求前進を目指すとともに、組合員や未加入の仲間との対話をすすめ、組織拡大に取り組みましょう。
コロナ禍だからこそたたかう21国民春闘に
2月21日には21国民春闘静岡県決起集会が静岡市・浜松市で開催されます。公務公共サービスの拡充、そして自治体労働者の賃金・労働条件向上を地域全体の要求としていくためにも、地域の民間労組との連帯を強め、コロナ禍だからこそ大幅賃上げと社会保障の充実を求める21国民春闘にしていきましょう。
コロナ禍だからこそ公務・民間一体でたたかいすすめよう
新春にあたって21国民春闘の課題と展望
組合員のみなさん、毎日の業務に頑張っておられると思います。
昨年は新型コロナウイルス感染拡大で、大変な一年でした。年末年始の休みもなく、地域住民のいのちと暮らしを守るために奮闘を続けた病院など医療職場や保健所など公衆衛生職場の仲間たちに、静岡自治労連を代表して感謝と連帯を表明します。コロナ禍はまだ続いていますが、静岡自治労連に結集し、自治体労働者としての権利拡充とさらなる改善に取り組んでいきましょう。
コロナ危機や大規模災害で露わとなった自治体体制の脆弱性
コロナ危機が長期化するなかで保健所や病院はパンク状態になり、従事者は過重労働と精神的ストレスで過酷な労働環境に置かれています。これは国が感染症対応を軽視し、保健所や感染症指定病床のあり方を変えてきたことにより、数や規模を縮小させられたことに大きな原因があります。
政府がすすめる大企業優先の政策、スマート自治体による公務員削減、自治体の「デジタル化」ではなく、住民のいのちと暮らしを守る自治体本来の仕事を充実させていくことが必要だと考えます。まずはコロナ収束のため、感染症に対応する職員と保健所、病院病床を増やしていくことが急務です。
気候変動によって頻発する大規模災害やコロナ危機を経験するなかで、今こそ「災害や危機に強い自治体づくり」が求められています。
なぜ自治体労働者が春闘に取り組むのか
日本の労働組合は企業ごとに組織されて、個々に使用者と交渉しています。情報交換しながら、時には励まし競い合って労使交渉を行うため、同じ時期に足並みをそろえることが合理的です。だから春にいっせいに交渉を行うことになりました。それが春闘です。民間組合は主に春闘で賃金・労働条件が決まります。
一方、公務員賃金は、人事院や各人事委員会が民間の賃金水準との比較調査を行い、その結果を反映した勧告に基づいて、秋から年末にかけて人事当局と組合が交渉を行って決められます。したがって、春闘時期は公務員賃金を決めるタイミングではないと思えますが、本当に春闘は公務員には関係ないのでしょうか。
先ほど述べたように公務員賃金は、民間賃金との比較が基礎となっているのが現状であり、民間賃金が上がらなければ公務員賃金も上がらないことになります。それならば、民間賃金を決める春闘を、公務員を含む国民全体で大いに盛り上げて、賃上げムードへ導いていくことが大切です。だから公務員も春闘に取り組む必要があるのです。
また、私たちの職場には、正規職員もいれば非正規職員もいます。周りにいる違う立場の人のことも考えて要求づくりをすることが重要です。そのためにも最低賃金の大幅引き上げや公契約条例の制定などの取り組みで、全体の賃金水準引き上げに努めていかなければなりません。
そして春闘は、国民春闘と名付けられているように、賃金だけでなく、格差差別の問題や社会保障などのあらゆる課題についても、思いを同じくする団体や個人と協力して、要求し解決を図っていくことが求められます。
職場にとどまらず地域・社会へ一歩足を踏み出す21国民春闘へ
21国民春闘が各地でたたかわれています。
コロナ危機に伴って経済の冷え込みが予想され、労働者の賃金に跳ね返ってくる可能性があります。自粛ムードに飲み込まれて、「コロナ禍だから仕方ない」とあきらめてしまっては、その時点で負けとなってしまいます。「コロナ禍だからこそ賃金底上げで地域活性化を」と、みんなの力を結集して社会を変えていこうではありませんか。今必要なのは「8時間働けば、人間らしく普通に暮らせる賃金」です。職場にとどまらず、思い切って地域や社会に出て、力一杯たたかいをすすめていきましょう。
住民ののちとい暮らし守るために
コロナ禍の1年 各地で仲間が奮闘
新型コロナウイルスの感染拡大から1年が経つも国民はいまだ出口の見えない暗闇のなかで苦しんでいます。各自治体では住民のいのちと暮らしを守るため職員が懸命の努力を続けており、「住民の福祉の向上をめざす」という自治体本来の役割があらためて注目を集めています。
困窮する労働者・企業 自治体の対策すすむ
県内の感染者数は1月20日現在4千人を超え、特に昨年11月頃から爆発的に増加しています。人口の多い2政令市や首都圏に近い東部の市町で増加が目立つほか、感染力が高いとされる変異株が確認されたことから県は独自の緊急警報を発令しました。
富士市立中央病院をはじめ病院クラスターも相次いでおり、患者と職員を感染から守り、地域医療を堅持するための対策が求められています。
労働者や企業への影響も深刻です。倒産や休業にともなう雇い止め、働く時間の短縮で収入減など、雇用不安が広がっています。
こうしたなか各自治体では、国の地方創生臨時交付金を活用するなど、コロナ禍で困窮する住民と企業を救うため、職員自ら知恵とアイデアを出し、各団体と連携しながら独自の施策に取り組んでいます。
奮闘する職員を組合が支える
コロナ禍のもとで、自ら感染の危険にさらされながら住民のために奮闘する自治体職員を組合は励まし、支え続けました。
浜松市職では、妊娠中や出産後の女性職員の業務軽減や、感染リスクの高い作業に対して特殊勤務手当の増額、幼稚園・保育園などに感染対策用品の購入補助などを要求し勝ち取りました。
静岡市労連や伊東市職労連では、感染拡大時の勤務体制変更に対して在宅勤務を要求。下田市職では安全衛生対策や充分な人員確保を臨時・非常勤も正規職員同様に扱うことなど要求しました。
各病院組合では対応職員に各種手当の増額や宿泊施設の無償提供などを要求したほか、職員が感染した場合に個人責任としないよう求めました。
また、20確定闘争ではコロナ禍だからこそ地域経済の改善につながる大幅賃上げ、コロナで必要性が明らかになった自治体の人員体制の抜本改善を要求し、一定の成果を勝ち取りました。
住民共同の運動で希望を切り開こう
今後も新型コロナとのたたかいが続くもとで、住民のいのちと暮らしを守ることのできる公務公共と社会保障の充実、そして人員体制確立、労働条件の改善が急務です。
コロナ禍だからこそ臆することなく、「保健所や病院を増やして、安心して検査や治療が受けられるようにしてほしい」「地域の中小企業や商店街を助けて」「安心して暮らせる賃金がほしい」などの住民の願いと、私たちの要求を実現する運動を展開していきましょう。