9月22日(土)、「第22回静岡地方自治研究集会」が静岡市・もくせい会館にて開催され、県内各地から320人の市民・自治体労働者らが参加しました。今年の集会は前川喜平氏の記念講演が早くから注目を集め、事前申し込みが殺到し、直前に第二会場を用意するほどの盛況となりました。
はじめに実行委員会を代表して菊池仁副実行委員長(静岡自治労連執行委員長)が主催者あいさつをおこないました。菊池副実行委員長は、いま静岡県において若者の首都圏への流出が著しいことと、外国人技能実習生が増加している実態に触れ、「今年の『骨太の方針』でも外国人労働者枠の拡大がこれまでにないかたちで示されている。そうしたなかでこの問題に地域や自治体行政がどう対応していくのかがこれからの課題だ」と問題提起しました。
つづいて文部科学省元事務次官の前川喜平氏が、「どうあるべきか『公務労働』―『モリカケ』問題を問う」と題して記念講演をおこないました。
前川氏は、森友学園の用地取得と加計学園の獣医学部新設にかかわり、安倍首相の関与があったのではないかという疑惑―いわゆる「モリカケ問題」について、自身の体験を交えながら詳しく解説。加計学園の獣医学部新設を認めるに至った行政のプロセスはきわめて「不公正」「不公平」「不透明」に歪められたものであるとして、国家戦略特区の枠組みのなかで本来おこなわれるべきだった審査がまったくおこわれなかったことや、加計学園ありきの後付け条件、一連のプロセスがまったく世の中に知らされなかったことなどの問題を列挙。「文科省と愛媛県の文書からも安倍首相の関与があったことは明らかだ」と語りました。
森友学園問題についても、「官邸の強い圧力なしに財務省があんな不正を犯すことはあり得ない。誰が佐川元理財局長に国有地の値引きや公文書の改ざんを指示したのかを明らかにしなければならない」と話しました。
前川氏は、これらの腐敗した政治や、歪められた行政が横行するもとで、あらためて「公務労働のあるべき姿」について問題提起。憲法15条「全体の奉仕者」、99条「憲法尊重擁護義務」にもとづく公務労働について、「住民のためにどうすればいいか、全体の利益になるかどうかを判断し、与えられた仕事の裁量のなかで最善を尽くすことが全体の奉仕者としての仕事だ。決して首長や上司のための仕事であってはならない」と強調しました。
また、「政治家の暴走や政治の腐敗があれば、それを食い止めるのが一般職公務員の役割だ」として、わたしたち公務員・公務公共関係労働者に対して、長年培ってきた知識や専門性、現場の経験、政治的中立性や公平性の発揮によって権力を監視する役割を期待しました。また、そのうえで大事なことは、公務員も公務員である前に一人の人間であることを忘れないことだとして、「一個人・一市民・一国民として見たときに、自分がいま組織のなかでおこなっている仕事が本当にいいことなのか、本当に国民や市民のためになっているのか、判断ができるようになる必要がある」と述べました。
つづいて基調報告と特別報告がおこなわれました。特別報告では、浜岡原発再稼働問題、リニア中央新幹線問題、浜松市の水道民営化計画(コンセッション方式)について、各団体から報告があり、これらの地方自治の課題について住民の運動で反対運動を強めていく発言がされました。
参加者からは「地方自治は身近な存在だが、問題も多いことを痛感した。もっともっと関心を持たなければいけない」「前川喜平氏の話はとても貴重で、講演を聞くことができてよかった」などの感想が寄せられました。