静岡県地方自治研究所は、7月7日(土)、第22回定期総会・講演会を静岡市内で開催。自治体労働者をはじめ、労働組合や民主団体などから45人が参加しました。
はじめに、静岡県地方自治研究所の川瀬憲子理事長(静岡大学教授)が主催者あいさつをおこないました。
第1部では、京都府立大学の川瀬光義教授が、「基地と地方自治―沖縄を通して考える」と題して記念講演。川瀬教授は、オスプレイや戦闘機の墜落、輸送ヘリの不時着・炎上、ヘリ部品の落下など、米軍関係の事故・事件があいついでいるにもかかわらず、日本政府は米軍航空機の飛行を容認するなど、住民の安全よりも米軍の行動が優先される異常な事態から「日本は独立国と言えるのか」と問題提起。冷戦終結後も減らない基地面積や、日米地位協定による治外法権、基地維持のための巨額の経費や米軍関係者による事件の賠償金を日本政府が負担するなど、世界的にも異様な在日米軍基地の有り様を指摘しました。
また、歴史を振り返っては、国際法違反の琉球処分にはじまり、12万人の県民が犠牲となった沖縄戦、戦後銃剣とブルドーザーによる土地の接収と基地形成、そして日米両政府による強権的な基地確保など、「根深い沖縄への差別や自治権侵害の帰結として、今日、在日米軍基地の7割が沖縄に集中する異常な状況がある」と述べました。
川瀬教授は、この間名護市住民投票などで繰り返し示されてきた沖縄県民の民意に反し、また、法的根拠もない辺野古新基地建設と、当事者能力のない日本政府を厳しく批判。「在日米軍基地は地方自治の発展を阻害している。特に辺野古新基地建設強行は地方分権改革をまったく形骸化するものだ」、「沖縄は基地に依存しているのではなく寄生されている」、「基地は沖縄問題ではなく日本全体の問題だ」と強くうったえました。
つづいて第2部として定期総会がおこなわれました。青池則男事務局長(静岡自治労連書記長)が17年度の事業・活動報告、18年度の活動方針案を提案。志田剛理事が17年度決算、18年度予算案の提案をおこないました。
質疑討論では、地域の高齢化問題や人口減、介護問題、浜岡原発再稼働やメガソーラーの問題、県東部地域で抱える諸課題など、静岡県の地方自治における課題や、地方自治研究所の今度の活動のあり方などについて参加者から活発な意見が上がりました。
すべての議案は拍手で採択され、参加者は静岡県の地方自治がよりいっそう発展できるよう努力することを誓い、閉会しました。