中澤秀一 × 菊池仁 特別対談(4/8ページ)

菊池 先生は社会保障がご専門とお聞きしました。
中澤 そうですね、社会保障が専門です。
菊池 10月に消費税が8%から10%に引き上げられようとしています。消費税は誰にでもかかる税金であり、所得税のような累進課税は所得が高ければ高い人ほど払う税金も大きくなっていくのですが、消費税についてはとにかく買ったものの金額に対して等しくかかるということで、所得の低い人にとってより重い税金だと思っています。そうではなく、払える人がより払うのが税金として正しい道だと思って、これまでも運動してきました。いまも消費税を10%に引き上げるのは中止してもらいたいと、運動をすすめているところです。ただ、消費税増税の理由として、政府は「増大する社会保障費にあてていく」と一貫して答えています。これまでも何度か消費税は引き上げられており、その都度「消費税は社会保障にあてる、それに特化した税金」ということを、ずっと言われてきたのですが、実際に消費税が社会保障に使われてきたと言えるのか、正直疑問に感じています。
中澤 お金に色がついているわけではないので、どれがどこの財源に使われたというのはなかなか難しいところがあるとは思いますが、少なくともいままでも消費税を上げる理由として、「社会保障を拡充させるため」ということで、国民に納得してもらってきたわけなんですが、実際に社会保障費に全部当てられてきたとは言えないと思います。やっぱり、所得税や法人税を削る――税金の累進性を減らすことに所得税を使ってきたという、税金をとるルールを変えたいという政府の意向のなかで、消費税増税がおこなわれてきたんだと思います。企業にしてみたら、社会保険料の負担や直接税の負担を減らしてもらって、その分を消費税に回してもらったほうが自分たちにとっての儲けになるので、そういうふうに税金のルールを変えてきたなかでの消費税増税だと思います。結論を言うと、これまでの消費税増税が社会保障に回ってきたとは言えないので、今回も「消費税を10%にすることで社会保障が充実する」と政府は言っていますが、実際にそれがどこまで回るのかは怪しいところで、やっぱり「消費税増税しかない」というのはおかしいことだと思います。
菊池 今回、「消費税増税分を幼稚園、保育園の無償化や高等教育無償化の財源にしていく」と、あたかも本当に全額社会保障に当てられるかのような甘い言葉で、消費税を上げる理由付けをしているように思えるのですが、本当に消費税を上げないと日本の社会保障はやっていけないのでしょうか?
中澤 そんなことはありません。この間、大企業の内部留保はずっと増えつづけてきています。その金額と増大する社会保障費を比べたときに、社会保障の給付額よりも大企業の内部留保のほうがずっとずっと大きいんです。要するに税金を取るべきところから取っていないから社会保障に回せないのであって、なんでこんなに内部留保が増えたのかといえば、それはさっき言った税金のルールが変えられて、大企業が税負担をしなくなったことが背景にあるので、やっぱり「消費税増税しかない」じゃなくて、大企業や富裕層など、税金を取れるところからきちんと取ることをすれば、財源はいくらでも確保できます。少なくとも内部留保を90年代半ばくらいまでの水準に留めるようなルールにもう一度変更することができれば、それで財源は十分まかなえると思います。
菊池 大企業の内部留保は総額で400兆円を超え、2017年度だけでも22.4兆円が積み上げられたと聞きました。それだけあれば、先ほどの最低賃金の話もそうですが、財源は余裕で確保できますね。
中澤 いま富めるものとそうでないものの二極化というか、格差がものすごく大きくなっているもとで、貧富の格差という問題を含めて、たくさんお金があるところから税金を取るということをしないと、先ほど言ったように消費税は誰でも負担する率は同じという、たいへん逆進性が強い税ですから、「しっかり累進課税を強めていけば、社会保障の財源はなんとかなるんだよ」ということをもっと強く言っていかなければいけないと思うのですが、社会保障費が膨らんでいくもとで、みんな「消費税でまかなうしかない」と思い込まされているんですよね。だからそこをもっと「そうじゃないんだ」ということを、労働組合にもきちんと発信していってもらいたいと思います。

 

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消費税増税は止めていかなければいけない

 

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