中澤秀一 × 菊池仁 特別対談(3/8ページ)

中澤 労働時間の問題もありますね。さっき菊池さんが言っていたように、長時間働けばそれなりの賃金にはなるわけですけど、やっぱり8時間働いて普通の暮らしができる――要するに基本給で暮らせるとか、所定内の労働時間でちゃんと暮らせるということが大事なんだと思います。いま「働き方改革」と言われていますが、やっぱり基本はワーク・ライフ・バランスがはかれる労働時間で暮らせるということだから、労働時間の規制が重要なんです。じつは最低賃金の問題って、労働時間の問題とも表裏一体というか、セットの問題なんですね。
菊池 「働き方改革関連法」がこの4月からスタートしたわけですが、時間外労働の上限規制として月45時間・年360時間が定められましたが、これはあくまで基本線でして、繁忙期には月100時間とか複数月平均80時間とか、これまで過労死ラインと言われてきた月80時間を超えるものが場合によっては認められるというのは、非常に問題のある法律だと思います。これまで残業代をあてにした給料というところもあったのですが、やっぱり人間として、働くのは8時間、8時間は休息のために、残りの8時間は自由に使える時間というのが昔からの大原則です。わたしたちもそのために運動をずっとつづけてきたわけですから、8時間労働を基本とした生活のできる賃金が必要だということですね。
中澤 いま菊池さんがおっしゃっていたように、これまで残業代をあてにして、それを込みで生活費をまかなっていた人が、働き方改革で残業時間が月1時間くらいになって、残業代が入ってこなくなって、住宅ローンが払えなくなってしまい、生活に困窮しているという事例がこの間ドキュメンタリー番組で紹介されていました。おそらくそういう、働き方改革で労働時間は短くなったけど、残業代が入ってこなくなって生活できなくなったという問題がこれからも出てくると思うので、さきほどの「8時間働けば普通の暮らしができる」ところをつくりだすというのが、大事になってくるんだろうと思います。そのために、最低賃金をまず上げていくことが必要です。
菊池 長時間労働による過労死が社会問題になったことから、労働時間規制というものが出てきたんだと思うんですけど、労働時間は労働時間、賃金は賃金と、別々に考えていてはいけないということですよね。これはもうあくまでセットなんだと。
中澤 そういうことですね。そこをしっかりと話していく必要があります。「労働時間規制したら給料が下がっちゃいますよ」ということになったら、労働者の支持は得られないので、デリケートな問題ではありますが、しっかりと取り組んでいくべきことだと思います。
菊池 公務員の仕事も正規職員もいれば、非正規の人もいます。この間、非正規雇用の方々がどんどん増えているもとで、それこそ非正規職員がいなければ、公務業務がまわっていかないという状況になってきている。これは「公務員を減らせ」の風潮のなかで、そうなってきてしまったんですけど…。こうしたなかで、わたしたちは非正規の方々の賃金・労働条件をしっかりと守っていかなければいけないと思いますし、行政に責任を持っていくことで言えば、責任をとれる正規職員でしっかりと行政を運営していく必要があると考えています。そういうしっかりとした行政ができる職員配置というものを求めて運動してきているところです。
中澤 そうですよね。それも労働時間の問題と関係していて、正規職員の業務量が増えつづけるもとで、8時間で業務がこなしきれないから残業していくことになるわけですよね。だから適切な業務量を考えるときに、いまの正規・非正規の配置が本当にそれでいいのか、なんでも公務員を減らせばいいということじゃなくて、働いている労働者のことを考えて、また、行政サービスを受ける市民のことを考えると、いまの正規・非正規のあり方が本当にいいのかということをちゃんと言っていかなければいけないと思います。自治労連に期待しているのは、非正規の人たちのための運動もいっしょに展開していってほしいということ。非正規を正規化していくとか、そういったことを含めて、そこを取り込んでいかないとやっぱり運動が先細りしてしまうんじゃないかなって思います。
菊池 非正規の問題では、来年の4月から「会計年度任用職員制度」が新たにはじまります。これをきっかけに非正規の皆さんの処遇改善をやっていこうと、取り組みをすすめているところです。
中澤 やりようによってはすごく働きやすい労働条件ができるわけだから、新制度をどうやって運用させるのかということも、これからの労働組合の働きかけ次第で変わってくると思うので、僕もそこは期待しているところです。
菊池 ここのところがちゃんとできなければ、それはもう労働組合ではなくなってしまうと思っています。
中澤 本当にそうだと思います。労働組合の存在意義が問われるところなので、ここがおろそかになってしまうと、労働者の信頼を失ってしまうことになるので、本当に期待しています。
菊池 頑張ります。

 

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