馬場利子インタビュー(2/6ページ)

菊池 馬場さんがウクライナ避難民の方への支援をはじめたきっかけについて教えてください。

馬場 プラムフィールドは450人ぐらい会員がいて、常時50人ぐらいが活動しています。そのなかで「何かしたいけど、戦争はとめられないし」という、本当に当たり前の言葉が出てくるんです。ただ、募金をしようにも、大きな団体だと集まったお金がどう使われるのかわからない。
そんななか、(県ボランティア協会理事長の)小野田さんから「どうしたらいかな、馬場さん」と相談を受けたとき、私はもし自分がウクライナ人だったらと考えました。お金もなく着の身着のままポーランドに逃げたときに「日本に友達がいる」「家族がいる」となれば行きたいですよね。静岡県に縁があるウクライナ人が「日本に行きたい」と言えば、そのためのお金を私たちは集めて「日本に来てもらおう」と。永住するわけではないから、とにかく温かい布団の上で寝てもらおう。空爆のないところで安心して暮らしてもらう。静岡に縁があった人、静岡に来られる人を、私たちの手でまずなんとかしよう。その後のことはその後ゆっくり考える。その間に戦争が停まるかもしれないし、平和になったらみんなで帰るお金をまた出しあえばいい。

馬場さんが共同代表を務める「ウクライナ希望のつばさSHIZUOKA」。ウクライナ避難民への募金活動、生活再建支援活動に取り組んでいる

そういう話を小野田さんに話すと、「それいいね。僕たちも大きな団体に寄付する募金はずっとやってきたけど、それじゃないなと思った」と言ってくださって、「それなら私も協力します」と、支援をはじめました。
国と国ではなく、あくまでも隣近所にいる人が困っていて、その親族の方が生死を隔てるような状況にあるなら「日本語が通じないとか文化が違うとか言っている場合じゃない。縁のある静岡に来てください」という思いで、この限定的な支援になりました。

菊池 支援を行ううえで何か課題はありますか?

馬場 たとえば就労ビザや就労支援の課題があります。日本語が全然わからないのに就労もないですよね。社会福祉協議会の方が「日本語教育をします」と仰ってくれていますが、「今日のご飯が食べたいんだから」というところでは間に合いません。
私たちは有機農業の農園さんに「日本語ができなくても見よう見まねでできるし、日本の農業も学べるし、どうですか?」と持ちかけました。そうしたら「田植えのとき1日だけならいいけど、1日8000円でずっと雇うことはできない」と言われました。農家さんは「支援になるなら協力はしたい。お金さえあればどれだけでも来てもらいたい」という気持ちがある。でも実際に1日8000円というお金は払えないですよね。
そうしたなか私たちは就労は生活支援の一部になるのではと考えました。例えば1日8000円払うところ、農家さんが2000円払ってくれたら、あとの6000円は彼が家族といるために私たちが支援する。最初からポーンと10万円あげちゃうよりもいいのではと思っています。
日本は平和だけど、お金がなくて家族の食べ物や子どものおやつを買うことにも不安があるなんて、悲しいことですよね。そうしたなかで、生活全般に目配りができる市民活動はとてもありがたいと思っています。「避難民の方が働けるところを知らない?」ってメールを回せば「ここ、どう?」って返ってきますから。みんなが力を合わせてウクライナの人たちの支援をするなかで、平和を考え、「私たちの身に同じことが起こったらどうなるんだろう…」「私たちには憲法があるから、こんなふうにはならないよ」と、憲法を学ぶ機会になると私は思っています。

青池 日本の難民政策は他国よりも間口が狭いと言われています。そのなかで、比較的恵まれているウクライナ避難民の方と、他の難民の方々との分断が心配されるのですが。

馬場 そこは本当に修正していかないといけないと思っています。今回、ウクライナの人たちが苦しんでいる姿をインターネットで見て、「日本に来てほしい」となりました。他の難民の方たちが私の側にいれば、きっと同じように動いていたと思います。
ウクライナの支援をはじめるときに、知り合いのアーティストに「ウクライナ避難民の支援をするから、チャリティーコンサートに来て協力してほしい」と声をかけました。いつもなら「ハイ」と来てくれるのに、「僕はアジアで起こっているいろんなことや、難民政策が行き届いていないのに、ウクライナの人たちだけ助けるということには協力できない」と言われてしまい、目が覚めました。確かに片手落ちかもしれないと思います。私たちも「ウクライナの人たちだけ助けていればいいや」なんて思っていません。ロヒンギャ難民の方たちとも出会っていれば、私たちももっと前に立ち上がっていたかもしれません。出会ってしまったら、やれることをしないといけないと思っています。

菊池 静岡自治労連もぜひ協力させていただきます。

 

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