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子どもたちのいのちを守り発達を保障するために保育行政の在り方を転換し、保育の最低基準の抜本的改善を求める声明(声明)

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子どもたちのいのちを守り発達を保障するために保育行政の在り方を転換し、保育の最低基準の抜本的改善を求める声明

2023年1月16日
静岡県労働組合評議会
議 長 菊池 仁
静岡自治体労働組合総連合
執行委員長 菊池 仁
全国福祉保育労組静岡地方本部
執行委員長 江間三智子

牧之原市の認定こども園で、猛暑の中、送迎バスに長時間置き去りにされた3歳児がいのちを失うという痛ましい事件が起き、裾野市の民間の保育園では保育士が1歳児への虐待的な行為で逮捕される事件が起きてしまいました。
このようなことは二度とあってはなりません。
牧之原市の事件を受け、2023年4月から通園バスに「置き去りを防止する安全装置」設置義務化の再発防止策が決定しました。また、厚労省は2021年に「不適切な保育の未然防止及び発生時の対応についての手引き」を出しています。
これらの対策は重要ではありますが根本的な問題の解決にはなりません。子どものいのちを守り、豊かな成長と発達を保障するためには、保育行政や保育現場での労働条件などの改善が不可欠です。

国は保育行政に規制緩和と営利目的の企業の参入を促進し、常勤保育士から短時間保育士への置き換えを拡大。さらに認可保育所の保育士の有資格者配置を基準の半数でも可能とするなど人員配置の緩和を行ってきたのを始め、市町村の保育実施責任(児童福祉法24条1項)を後退させ続けています。
国の保育行政の劣化とともに、自治体が運営する公立保育所の統廃合や民間委託が行われ、保育士の非正規化も顕著になっています。
特に問題なのは、職員配置などの保育の最低基準が遅々として改善されないことです。なかでも、4歳児以上30人に保育士1人(30:1)の基準は、1948年の制定以来、74年間一度も変わっていません。
この配置基準では子ども一人ひとりに寄り添うことはできないばかりか、日々の様子や成長を記入する連絡帳の作成や事務作業などの時間も確保できず、休憩時間を削り、また、仕事を持ち帰るなどして何とかこなしている実態があります。
職員配置基準と国の公定価格の貧しさが、保育労働者の賃金の低さにつながっていて、実際に保育士の賃金は他職種の労働者よりも低く抑えられています。子どもの成長と発達を支える専門職である保育士の賃金が他職種の労働者と比べて低賃金なのは、世界的に見ても異常です。
保育現場の劣悪な労働実態と賃金の低さが要因の人員不足を解消するためには、保育の最低基準の抜本的な改善が不可欠です。

牧之原市や裾野市の事件を起こした施設や当事者の責任は重大ですが、それ以前に国や地方自治体の保育行政の在り方こそが問われるべき根本的な問題です。それを現場で問うためにも牧之原市や裾野市の問題でも経営に対して声を上げる労働組合の存在があれば異なる未来があったとも考えています。
私たちは子どもたちのいのちと育ちを守るため現在の保育行政の在り方の転換と、保育の最低基準の抜本的な改善を求めます。

以上

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