伊藤 被災地ではどんな作業をされたんですか?
杉岡 僕らは側溝の泥出しとか、基本的にそんな感じでした。
福島 自分と倉本くんはまた別の日に行ったのですが、そのときは各個人の家から泥を出す作業でした。
倉本 家のなかに入り込んだ土砂をひたすらかき出す作業。
福島 床下いっぱいに泥が溜まっていて、それを一部屋10人くらいで、半日がかりでかき出す。
伊藤 そんな家がたくさんあったんですね。
福島 当時は熱中症が命の危険に及ぶ暑さだったから。
鈴木 休憩が多いんですよね。
福島 10分作業して10分休憩みたいな。
杉岡 ボランティアセンターの受付でマッチングして、現場に行って、それで帰りの撤収も含めると、実作業時間って少ないんですよね。
伊藤 そうなんですか。ものすごい量の作業をしているイメージがあったんですけど。
福島 それが限界というか適正な作業の量。
伊藤 無理して逆にボランティアの皆さんが倒れてしまったら元も子もないですものね。
杉岡 実際、僕が行った倉敷の真備では、熱中症で倒れて向こうの病院に搬送されたボランティアの人がいましたよ。
伊藤 本人もきっと辛かったでしょうね。ほかの皆さんはどういった作業をされたんですか?
梶井 自分も主に泥出しでした。家々の間の細い道が全部土砂で埋まっちゃって、その家のものが出せないので、土砂を取り除いて道を開通させる作業でした。
伊藤 ちなみにその泥ってどうするんですか?
梶井 土嚢に詰めて、集積場所に運びました。
鈴木 小学校の裏に、集めたものが山になっていて。
杉岡 それをトラックでまたどこかに持って行く。
伊藤 ずっと小学校に置いておけないですものね。
鈴木 学校も再開しないといけないから。
杉岡 集めたものを置いておける広い場所ってそういうところしかないんだけど、泥って汚いし、消毒もされていない。だから小学生が近づいて感染症の原因になったり、いろいろな問題があるんですよね。
武内 僕も家のなかの泥をかき出す作業をしました。泥って言っても普通の土じゃなくて粘土みたいな。固まっていてスコップも入りにくいし、水分を含んでものすごく重い。カビていてぬめりもある。それを袋に詰めて何回も何回も運び出したのですが、大変でした。
伊藤 ありがとうございます。皆さん、ボランティアに行かれて被災地の実態を直に見たわけですが、わたしたちが普段の生活や仕事をするうえで、こういう災害対策をしたほうがいいなと感じたことはありましたか?
福島 今回に関しては対策は難しい。
杉岡 そもそも土砂災害の警戒区域に指定されている場所なので、対策は住まないことくらいしかない。
伊藤 そうは言っても実際に人が住んでいるんですものね。
杉岡 土砂とかは防げないですけど、命を守ることはできるので、その準備だけはちゃんとやってほしいと思いますね。
梶井 僕らが行った小屋浦地区は、上のほうに湖があるんですか?
杉岡 いや、沢があるんですよ。そこから土石流が流れてきた。
梶井 新しい砂防ダムを作る計画があったけど、間に合わなかったって聞きました。
伊藤 結構、山間部でしたよね。
梶井 山の斜面に家々があるんですけど、家々の間の道が狭くて、その道が土砂で全部塞がってしまい、何もできなくなってしまっていて、狭くて重機も入れないし…そういうところにボランティアが活躍していました。
伊藤 やっぱり暑かったですか?
杉岡 8月の頭に行ったときは地獄でしたね。10分動けなかったですよ。おまけに息も吸えないんだよね、埃が多いから。
鈴木 そうですね。
杉岡 マスクもしていると苦しいし、暑いし。
梶井 埃も感じるし、臭いがすごかったです。
武内 臭いがマスクを貫通してくるので。
伊藤 どんな臭いだったんですか?
武内 嗅いだことのない臭いでしたね。
梶井 みんな破傷風の注射はやりました?怪我して菌が入ったら破傷風が怖いですよね。
武内 危ないですよね。
杉岡 だから長袖とか対策が必要なんですね。
梶井 みんなあんな暑いなかでよくやってましたね。ボランティアの人って本当感心します。家一軒の土砂を全部出しちゃうんだものね。そう考えるとすごいよね。
伊藤 皆さんどんな風に作業されていたんですか?
梶井 ひとつのグループが5~6人で、そのうちの一人がリーダーをやって、その人が作業の時間を測って、休憩の指示を出してました。
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「復旧、復興」の一方で、心が置いてけぼりにされている人がいる