機関紙

しずおかの仲間 第173号(2025年11月15日)

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戦後・被爆80年、あらためて憲法を学ぶ
第29回静岡地方自治研究集会

9月28日、第29回静岡地方自治研究集会が開催され、約100人が参加しました。全体会では東京慈恵会医科大学の小沢隆一名誉教授が講演。戦後80年の今、あらためて憲法の意義と歴史を学び、憲法をいかしていくことを呼びかけました。午後は6分科会に分かれ、テーマごとに学習と実践を交流しました。

 

組合への結集が要求実現の力に
全世代の賃金・労働条件の改善を実現させよう/2025年秋季年末闘争

組合の力で勝ちとった全世代の賃上げ25人勧

熱海市の吉德副市長(写真右)に要求書を手渡す静岡自治労連の菊池委員長(中央)と熱海市職連の小島委員長(左)(10月16日)

わたしたち自治体・公務公共関係労働者の賃金改善などの実現をめざす2025年秋季年末闘争が本格的にたたかわれています。
25年の国家公務員の人事院勧告は、民間労働者の春闘の賃上げ等を反映し、全世代・全号給での引き上げとなりました。 プラス勧告は4年連続です。今年の勧告の特徴は、初任給など若年層の引き上げだけでなく、中高齢層や再任用職員も一 定の引き上げを実現させたことです。
25人勧の引き上げを実現させたのは、公務と民間の労働組合のたたかいの成果です。人事院は民間労働者の賃金の上昇に あわせて公務労働者の賃金引き上げを勧告しています。また人事院は交渉の中で「職員団体(労働組合)からの要望」に応 えたと回答しており、中高齢層の賃金の引き上げは労働組合の要求によるものであることを認めています。また、公務と民 間の賃金比較の対象企業規模を「50人以上」から「100人以上」にしたことで賃金水準の底上げをしたことや、通勤手当の 支給額引き上げや駐車場利用料金の補助の新設などを勧告していますが、これらも長年にわたって労働組合が要求してきた もので、労働組合のたたかいなくして勝ちとることはできませんでした。
しかし賃上げ額は十分なものとは言えません。3年以上にわたる物価高騰には到底追いつかず、実質賃金は下がり続けています。25秋季年末闘争は、25人勧の改善を勝ちとったことに確信を持つと同時に、物価高騰を上回るさらなる賃上げをめざし、労働組合に結集して組合員が一丸となってたたかうことが求められています。

県本部が首長・病院管理者・当局を訪問して要請

静岡自治労連と各単組は、大幅賃上げと労働条件の改善をめざしてたたかいをすすめています。
静岡自治労連は、加盟単組のある自治体や公立病院を訪問し、静岡自治労連25秋季年末統一要求書を提出。当該単組の役 員とともに首長や病院管理者、当局と懇談して、25秋季年末闘争で単組と誠実な交渉を行うよう要請しています。
自治体や病院からは「財政状況は厳しいが、職員に働き続けてもらうため、また、人材確保のためにも賃金の引き上げは必要だ」「働きやすい職場でなければ職員が退職していってしまう。賃金だけでなく、労働時間や福利厚生も含めて環境の改善が重要な課題」「病院経営は物価高騰に対して診療報酬改定がまったく追いついていない。とりわけ公立病院はほとんどが赤字の大変な状況だが、地域医療を守るためにも、いま働いている職員が働き続けていけるようにしていきたい」などの回答が聞かれています。

組合員の切実な要求実現めざし各単組で奮闘

静岡市当局(写真奥)と団体交渉を行う静岡市労連(手前)(10月23日)

25秋季年末闘争で各単組のとりくみもすすめられています。静岡市労連と浜松市職は、人事委員会勧告に先立って、職員の生活改善となる賃金の大幅引き上げなどを求める要請書を提出し、交渉を実施。人事委員会勧告後には職場委員会で決定した要求書を当局に提出し、賃金・諸手当の改善を求めて精力的に交渉をすすめてきました。
下田市職は、職場組合員から意見を募り、寄せられた多くの意見をふまえて単組の要求書をまとめ、退庁時集会を経て決定。当局に提出し、実質的な賃下げとなる当局提案をはね返すため交渉に臨んでいます。
島田市労連は組合員への職場アンケートを実施し、その回答を反映させた単組の要求書を当局に提出。要求実現に向けて 団体交渉を行うことにしています。
富士中病労組は経営形態変更で地方公営企業法全部適用になってから初めての25秋季年末要求書を当局に提出して団体交渉を実施。大幅な賃上げと通勤手当の改善などを求めて奮闘しています。

県青年部定期大会で公務員賃金のしくみと課題についての学習会を実施(11月8日)

浜松関連一般労組は、会計年度任用職員の賃金制度改正に向け、浜松市職とも連携して、大幅な賃上げを実現させるため 研究と当局との協議をすすめています。
県本部は、25秋季年末闘争の情勢や獲得目標を共有し、非正規単組の要求書案作成の助言を行うなど、各単組のたたかいを支援しています。
25秋季年末闘争は、組合が団結して要求すれば実現できる課題が多くあります。職場組合員がたたかいに結集し、労働組 合の存在感を職場に示して、とりくみをすすめていきましょう。

 

学歴詐称疑惑で市政後退職員の過重労働も誘発
市政と職場の正常化を求める/伊東市職労連

田久保市長(当時)に要請書を手渡す伊東市職労連の齊藤委員長(写真左)

伊東市の田久保眞紀前市長の学歴詐称疑惑に端を発する問題は、長期間にわたり市民を混乱と不安に巻き込む異例の事態となりました。市議会との対立で市政は空転し、報道が過熱する中で市外・県外からも殺到する苦情電話等で市職員の 負担が増大しています。

 

伊東市長の問題で最も大きな負担を強いられているのは市職員です。業務に全く関係のない抗議等の電話やメールは10月 末までに1万2000件以上にのぼり、対応に追われています。長時間対応となることもあり、通常業務にも支障をきたし、職員は心身ともに疲弊しています。
7月、伊東市職労連は、この事態を看過できないと、市長に対して「市民・職員に対する謝罪と説明、自身の責任の明確化」を求める要請書を提出。また、職員アンケートにわずか2日間で寄せられた300以上の声をふまえて数度にわたる申し入れで改善を求めました。
しかし市長は要請に応えず、不信任決議に対して議会を解散。10月19日に行われた市議会議員選挙では、不信任に賛成の議員が再び大多数を占めました。新たな議会のもとで不信任決議が再び可決され、市長は失職となりました。
伊東市職労連は、憲法の理念を遵守し、地方自治を発展させる市政を求めるとともに、長年の予算人員要求の経験もいかし、混乱の時だからこそ、各職場から出された要求の実現に向けて交渉やとりくみを強めていくことにしています。

 

労働運動を新たなステージへ
Labor Union College 2025

全労連の秋山議長が開会を宣言してスタートしたレバカレ2025

10月11~13日の3日間、全労連が主催する労働運動交流集会「レバカレ2025」が開催され、全国から約700人、静岡自治労連 からも3人が参加しました。
従来の労働組合の集会とは異なり、70の多種多様なテーマの分科会のうち関心のあるところに自由に参加して議論を深めるという新しいスタイルで行われました。
第1分科会「排外主義に対して私たちはどう考えるか」では、外国人技能実習生の搾取と差別の実態を報告し、労働組合としての考え方を議論しました。
第27分科会「私たちの賃金はなぜ上がらないか」では、諸外国と比べて日本の労働者の賃金が低く、企業の利益が内部留保や配当金に過剰に割り当てられる不当な労働分配率になっている実態について学び、議論しました。
自治労連が中心になって企画した第46分科会「地域手当を廃止し、公的労働者の賃上げで地域経済の活性化を」では、地域手当による地域間格差が人材確保の困難さや人材流出につながり、さらに地域の介護・医療等の福祉サービスにも影響を与えており、地域経済と地方自治体に重大な影響を及ぼしていることについて議論されました。
参加者は、これらの分科会や、全体会のトークセッションで、自由に意見を述べあい、経験や意見を交流しました。

今後の労働組合運動を展望し静岡自治労連から3人が参加

参加者の一人、静岡市労連の松本和也さんは、「内容の濃い3日間だった。それだけで組織拡大できるほど簡単ではないが、ストーリーを使いながらスピーチする手法は有効」と感想を寄せています。
参加者はレバカレを通じて得たものを今後の組合活動にいかし、単組や地域の運動の前進をめざしていく決意を新たにしています。

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