第163号の記事
2022年国民春闘スタート
静岡県評・国民春闘共闘が新春宣伝(1月6日)
1月、各地で新春宣伝が取り組まれ、22国民春闘がスタートしました。日本の労働者の実質賃金はこの20年下がり続け、非正規労働者の増加・格差と貧困の拡大は深刻です。22国民春闘は大幅賃上げ・賃金底上げで生活不安をなくし、誰もが人間らしく働き、安心して暮らせる社会にしましょう。
熱海土石流災害 復旧・復興への奮闘続く
教訓いかし災害に強いまちへ
熱海土石流災害の発生から半年、被災地では行方不明者の捜索や約120世帯が避難生活を続けるなど、依然苦しい状況にあります。静岡自治労連と自治労連本部は、昨年11月、県内・全国の仲間から寄せられた550万円以上の義援金・支援金を熱海市・熱海市職連に寄贈しました。
義援金・支援金を届け激励
昨年11月26日、静岡自治労連と自治労連本部は熱海市を訪問。自治労連本部の長坂圭造副委員長から熱海市の齊藤栄市長に義援金・支援金あわせて400万円の目録を手渡しました。
復興へ決意
懇談では、長坂副委員長が被災住民へのお見舞いとともに、市長をはじめ熱海市職員の奮闘を労い、職員の労働環境整備や今後の災害対策を要望しました。 齊藤市長は全国からの支援に感謝を述べ、「限られた人員のなかでの災害対応は大変なことだが職員は本当によくやってくれた」「復旧・復興は長い取り組みになるが一歩一歩やっていく」と、職員の労いや復興に向けた決意を述べました。
人員増を要望
また、静岡自治労連の青池則男書記長から災害対応職員が「いつ倒れてもおかしくない」ほどの時間外労働をしていることに触れ、長坂副委員長から「ぜひ人員を増やしてほしい」と市長に要望。これに対し齊藤市長から人員増に前向きな回答がありました。
解説 熱海土石流災害
2021年7月3日に熱海市伊豆山地区の逢初川で発生した大規模な土砂災害。梅雨前線に伴う大雨により山間地流域の土砂が崩落し、下流部の住宅地に押し寄せた。2021年12月時点で死者26人、行方不明者1人、136棟・142世帯が被災した。
熱海市職連と懇談 災害対応の経験と防災の課題を聞く
続いて熱海市職連の小島輝久委員長(危機管理課・防災担当)、大川貴道副委員長(水道温泉課・管工事技師)、佐藤健二書記長(都市整備課・用地担当)と、被災状況や職員の現状などについて懇談を行いました。
災害に奮闘する職員
災害時にそれぞれの部署で特に苦労したことでは、「被災現場にたどり着くことすら困難ななかでの水道の復旧」「高齢者の多い地域での給水活動」(大川)、「通常業務とは別に避難地班としての避難所対応」「膨大な公文書開示請求への対応」(佐藤)などが挙げられ、県や国に対する要望では、「権限移譲事務が多すぎる」(小島)などの意見が出されました。
備えと意識が重要
また災害に強い自治体づくりに向けた意見では、「防災備蓄品や機材・給水車など日頃から点検の必要性」(大川)や、「復旧・復興に向けた用地交渉・用地買収でも経験とノウハウが必要」(佐藤)、また災害を完全に防ぐことが困難なもとで、「ハザードマップの確認や防災備蓄品の用意など、住民一人ひとりに防災の意識付けを行うことの大事さ」(小島)や、いざ災害が発生したときは「行政が一丸となっての対応」「初動対応の重要性」「災害対応ができる十分な人員」(小島)などが語られ、最後に住民と行政がともに防災に取り組むため、住民自治をどう育てていくかの課題も出されました。
また後日、熱海市職連に約150万円の義援金を寄贈しました。
あたたかい支援、ありがとうございました
昨年7月3日、熱海市伊豆山地区で発生した土石流災害に際し、県内・全国の仲間から多くの災害支援カンパをいただき、この場を借りて厚くお礼申し上げます。あわせて、お見舞いや激励の言葉など、さまざまな形で支援いただきましたことに感謝いたします。
今回の災害で住宅に被害を受けた組合員に対し、皆さんからお預かりしたカンパの一部をお渡しさせていただきました。カンパを受け取った組合員からは、「皆さんからの心のこもった支援に感謝します」「1日も早く生活再建できるよう使わせていただきます」と感謝の言葉がありました。
被災地では、なお行方不明者の捜索が続くなか、被災者の生活再建に向けたさまざまな支援を行うため、組合員・市職員は全力で業務に邁進しています。今後も、復興支援にご理解賜りますことをお願いいたします。
新型コロナの感染状況が落ち着いたら、ゆっくり熱海にお越しください。
安心して働き続けられる高齢期雇用を実現しよう
定年引き上げQ&A
23年度から公務員の定年年齢が引き上げられ、31年度からすべての職員が65歳定年となります。
しかし賃金水準の維持や高齢期に合わせた業務の確保、新規採用者の確保など課題が多くあります。
Q.どうして賃金が7割になるの? 業務も7割になるの?
A.国家公務員は定年引き上げ後の60歳超の職員賃金を民間に合わせて60歳前の7割に設定し、地方公務員もそれに準じるとされています。しかし業務量は60歳前と変わりません。同じ仕事をしながら賃金の引き下げは生計費原則や職務給原則に反し、またコロナ禍で奮闘する職員の士気の低下を招くなど大問題です。
そもそも国が7割水準の根拠とした人事院の「職種別民間給与実態調査」では、比較対象となる事業所は全体のわずか13%に過ぎず、しかも6割以上が一定年齢到達を理由にした給与減額は行っていないなど、根拠にもなっていません。
地方自治体においてはきちんと生計費に即した調査を実施させるとともに、60歳前の賃金水準や諸手当維持を要求していきましょう。
Q.定年延長で退職手当の計算はどうなるの?
A.国家公務員の場合、退職手当法に「ピーク時特例」があり、退職手当の基本額は降給前の給料月額に応じた期間を考慮した計算となります。
60歳前の給料月額×減額前の勤続期間支給率×調整率+退職日給料月額×(退職日までの勤続期間支給率-減額前の勤続期間支給率)×調整率
ほとんどの地方自治体でも条例で「ピーク時特例」が定められており、この特例を確保(ない場合は創設)する取り組みが重要です。
また、退職手当法は5年ごとに改定(22年度に官民調査、23年度に改定)が行われます。過去の改定では「調整率」が大幅に引き下げられてきました。退職手当引き下げを許さない運動を広げていきましょう。
Q.定年前再任用短時間勤務制って何?
A.定年引き上げ後、60歳以降に短時間勤務を希望する職員は「定年前再任用短時間勤務職員」となります。従来の再任用制度は廃止され、31年度までは特例で「暫定再任用職員」として残ります。
しかし「定年前再任用短時間勤務職員」は、再度常勤職員に戻ることはできないなどの問題があります。「キャリア・リターン制度」の導入など、多様な働き方を選択できる制度を求めていきましょう。
課題は他にもあります。「体力的に65歳まで働き続けられるか不安」の声が上がるもと、高齢期に合わせた業務や安心して働き続けられる職場の確保が必要です。また制度移行中、1年ごとに定年退職者が出ない年が生じ、新規採用への影響が考えられます。安定した新規採用と余裕を持った定数条例への改正を求めていきましょう。
いま各自治体では、6月議会での条例制定に向けて、制度の具体化をすすめています。安心して働き続けられる高齢期雇用と公務公共サービスの拡充を求め、各組合で要求書を提出しましょう。