静岡自治労連と西部地域の医療を守る会は、5月8日(土)、自治労連「こんな地域と職場をつくりたい運動」として実践した湖西病院住民アンケート調査結果の報告集会を湖西市新居地域センターで開催。調査に加わった組合員や地元住民など、会場とWebをあわせて40人が参加しました。
集会では、「地域医療の提供体制の維持」の希望が73.4%だった調査結果を報告し、厚労省の再編・統合で名指しされた市立湖西病院の存続と充実を地域から実現していこうと提起しました。
はじめに静岡自治労連の菊池委員長が主催者あいさつ。「新型コロナの感染拡大によって大阪の医療崩壊など地域医療が危機的状況にもかかわらず国は病床削減をすすめている。これに対抗していくのが今回の住民アンケートだ。本日の集会を力に新たな運動の第一歩にしていこう」と呼びかけました。
つづいて津市立三重短期大学の長友薫輝教授が記念講演。蒲原・湖西両病院の住民アンケート結果の分析について、「湖西病院で受診したことがある人が83%と非常に高く、受診理由は〈近いから〉48.8%、〈公立だから信頼できる〉33.1%と、アクセスのしやすさと公立病院であることが評価されている」とし、再編・統合については「〈すべきでない〉36.7%、〈地域医療が後退しない形で…〉36.7%とあわせると73.4%が地域医療の提供体制の維持を望んでいる。これに応えていくにはどうしたらよいか地域で考えていく必要がある」と評価とアドバイスをしました。
その後、公立・公的医療機関に共通する課題や問題点、地域医療において自治体病院が果たしていくべき役割が語られ、「地域医療構想は病床削減にとどまらない。医師需給推計や看護師需給推計と連動し医療従事者の削減へと公・民含めてつながっていく」と指摘。「地域の医療・介護保障をどうつくるか、トータルでとらえることが重要。地域医療は雇用の面でも大きく貢献している。地域の重要な産業の1つになっている」と自治体病院を充実させていく重要性が語られました。
活動報告では、湖西病職労の中村委員長が「厚労省から病院名が公表され、湖西病院がなくなるのではと不安になり、組合として住民アンケートを実施しようとなった。地域でのヒアリングでは〈職員の対応がよかった〉、〈待ち時間が長い〉などいろいろな意見が聞けて働く力となった」と住民アンケート調査に取り組んだ経験を報告。静岡自治労連医療部会の成毛幹事からは「病院では感染症防止の準備を早くからすすめてきたが病棟でクラスターが起き、慣れないなかでの看護で思うような対応できず悔しかった。医療部会の『要求書・ひな型』でクラスターに対する環境改善要求を提出し役立った」と新型コロナに対する職員の奮闘を報告しました。
行動提起では青池書記長が①湖西病院住民アンケート結果を地域へ広げていく、②住民運動を中心に湖西病院を存続・充実させる署名に取り組む、③「いのち署名」を最後まで取り組むの3点を提起し、参加者全員で確認しました。
最後に西部地域の医療を守る会の堀田代表が「今日の集会成功を機に国の公的医療費抑制政策を変えていきましょう」と呼びかけ、閉会しました。
参加者からは「病院をなくしたくないとみんなが気持ちを1つにして行動を起こしたことに本当に感動した」、「病院は地域経済や雇用の拠点になり、公共工事よりも貢献度が大きいとの話が印象に残った。病院の再編・統合をくい止めよう」、「コロナで医療従事者はたいへんな状況にあるなか再編・統合がすすめられていることに怒りを感じます。地域住民としてやることはやろうと思った」などの感想が寄せられました。