9月26日(土)、「憲法から考えるコロナショックと地域社会」をテーマに「第24回静岡地方自治研究集会」がWeb開催され、80人が参加しました。
午前の全体会では「サンデーモーニング」、「朝まで生テレビ!」出演でお馴染みの金子勝氏(立教大学大学院特任教授)が記念講演。1990年代の金融危機からコロナ危機まで日本経済の衰退を歴史的に振り返り、日本社会の失敗と責任を取らない体質の問題が語られました。金子氏は「コロナ危機に対して、日本はGoToキャンペーンや東京オリンピックありきの報道など楽観論に陥っている。これは、自粛にうんざりしている国民に対し、政治が経済活動の再開によって支持を集めようとしていることによる」と、第2次世界大戦中の国の政策と重ね合わせながら失敗の本質について述べました。
また、「日本はお金をばらまいているので一見デフレになっていないように見えるが、4月から6月の実質成長率がマイナス28.1%と戦後最大に落ち込み、企業の倒産件数は35816件で今年末までに5万件を超えるというもの。解雇や雇止めも6万人を超えてしまい月1万人のペースで増えている」と経済や雇用の厳しい実態を報告しました。
金子氏は、こうした状況を打開していくためには「分散革命ニューディール」が必要だと述べ、中央集権型から脱却してエネルギー転換を突破口に地域分散ネットワーク型で持続可能な地域をめざすことが提案されました。
つづいて静岡県地方自治研究所の林克事務局長が基調報告。コロナ危機による国内外の経済状況、国や地方自治体の休業要請や補償の実態、安倍退陣と菅政権の政権運営、野党共闘の発展に向けての市民連合の取り組みが報告されました。
また、県内の情勢では、清水庁舎移転の是非を問う住民投票運動、水と環境を壊すリニア新幹線構想、浜松市の水道コンセッション、島田市の包括業務委託、公立・公的病院の再編統合などの実態を紹介して分科会への問題提起としました。
午後は6分科会が行われ、活発な討論と運動の交流が持たれました。
①「コロナ禍の中での生活相談を考える」では、コロナ危機が長期化して解雇・雇止めなどの問題が発生しているなか、安心して生活できる制度はどういったものかを討論しました。
②「コロナ禍における医療危機を考える」では、コロナ患者を受け入れた感染症指定病院で働く職員の実態、診療所・歯科医院のコロナによる医療危機について交流しました。
③「コロナで見えてきた協働でつくる地域循環型経済とは」では、コロナ禍における地域経済循環と市民が夢や希望を持てる街づくりについて、島田市産業支援センターの菊池智博センター長(静岡自治労連執行委員)の助言を受けながら意見交換しました。
④「『放射線副読本』は何を隠しているのか?」では、文科省が全国の小・中・高校生に配布している「放射線副読本」の問題点について、「公平な放射線教育を考える会@しずおか」の小笠原学氏に解説してもらい、議論しました。
⑤「リニア新幹線・水問題と差し止め訴訟」では、いま全国から注目される南アルプスのトンネル工事、大井川の水減少問題と、新たな差し止め訴訟の取り組みについて意思統一しました。
⑥「地方議員交流会」では、コロナ禍で住民のいのちと暮らしを守る地方自治体の役割について語り合い、親睦を深めました。
参加した自治体労働者からは、「経済情勢をさまざまな視点から鋭く分析していただき、とても参考になった」(記念講演)、「自分の周辺の問題、テレビで見ている問題、いろいろなことを解説していただき面白かった」(基調報告)、「さまざまな現場の生の声が聞けて、自分たちだけが辛い思いをしているわけではないんだと、少し気持ちが楽になりました」(分科会)などの感想が寄せられました。