いま、各地方自治体では、財政の困難を理由に職員の人件費や住民サービスを削ろうとする動きが強められています。静岡自治労連では、こうした実態を明らかにし、対策を考えていくことを目的に「地方財政分析研究会」を発足しました。
11月21日(水)には、第1回研究会を開催。静岡大学の川瀬憲子教授(静岡県地方自治研究所理事長)を講師に、「地方財政を考える―交付税のトップランナー方式と『地方創生』政策―」と題した学習会をおこない、これからの財政分析の問題提起をおこないました。
研究会には各単組の自治研推進委員を中心に5人が参加し、熱心に聞き入りました。
講演のなかで川瀬教授は、この間、国の財政が軍事費の急増と社会保障費の削減のもとで中央集権的軍事国家の性格を帯びており、それが国と地方の税源比率に現れていることを指摘。「『地方分権改革』の前は 国65:地方35 だった税源が、三位一体改革を通して 50:50 になったものの、現在は中央集権化のもとで改革前の比率まで逆戻りしている」と鋭い問題提起をおこないました。
また、国に吸い上げられた税源は、一応、地方交付税として地方に支出されているが、それは地方を支配・政策誘導するために使われているとして、「地方創生」と交付税のトップランナー方式の問題を指摘。国は三大都市圏重視の国土政策のもと、地方に合理化を迫り、トップランナー方式によるアウトソーシングを地方に強要しようとしていると解説しました。
後段では、旧静岡市・旧清水市合併以降の静岡市の財政分析をおこないました。川瀬教授は、静岡市が政令指定都市化による財源を地方交付税一本算定に求めたが、三位一体改革で5.1兆円の地方交付税が削減され、合併算定替えより15億円程度の不足が生じたにもかかわらず、合併後大都市基盤整備を優先に市政運営をするなかで、毎年60億円程度の財源不足が生じることになったと解説。「基礎的な社会保障経費を削り、人件費削減(給与と人員の両面)をせざるを得なくなったもとで、市民一人あたりの将来負担比率が県下でダントツになった」と述べ、国のコントロールの下でいかに市財政が疲弊しているかの実例を示しました。