5月10日(木)、静岡県看護連絡会(静岡自治労連、県医労連、静厚労の3団体で構成)の主催で、「静岡県ナースウェーブ集会」とパレードが静岡市の繁華街で取り組まれました。
この取り組みに全体で140人、静岡自治労連から72人の看護師らが参加し、市民らに医師・看護師の処遇改善をアピールしました。
はじめに主催者を代表して静岡県看護連絡会の中村富美子代表があいさつしました。中村代表は、夜勤を続けた結果体調を崩す看護師が多いことに触れ、「みんなで弱音を吐きながら、声を出して処遇改善に結びつけよう」と呼びかけました。
つづいて、公益社団法人 日本看護協会の前会長で、東京医療保健大学副学長の坂本すが教授が、「看護師の働き方の現状と課題」のテーマで記念講演。労働組合の委員長や日本看護協会の会長を務めた自身の経験から、いい看護とは何か、看護師が生涯を通じて安心して働き続けるためにはどうしたらいいかなど熱弁を振るいました。
坂本教授は、少子高齢社会のもとで変化する医療・看護のあり方をはじめ、看護師の人材確保難や過酷な労働環境にともなう離職率の高さなど、看護職を取り巻く課題や労働実態をつぶさに報告。「質が高く、持続可能な看護提供体制を構築するためには労働環境の整備が不可欠」と述べ、夜勤・交代制勤務の過重負担軽減のためインターバル(勤務間隔)の設定や勤務時間の短縮の必要性をうったえました。
また、現場の努力だけでは解決できない課題が山積するなか、現状の改善や労働者の支援をすすめるためには、法律や制度、仕組みから変えていく必要があるとし、「これからの看護職がなすべきは『政策提言』だ」と話しました。
講演の最後には、近い将来、ICT(Information and Communication Technology)やIoT(Internet of Things)など情報技術の発達で、医療・介護のさまざまな場面でAI(人工知能)やロボットが人間の代わりをするようになるもとで、「AIに代替できない『看護』とは何か?」と問題提起。悲しみに暮れ泣き続ける患者の家族の背中を、励ますように、また、叱咤するように「ポンポン」と叩く看護師のエピソードを紹介しながら、「マニュアルどおりに仕事をすることは当たり前。患者の求めに応じて臨機応変に対応できるのが『人間』だ」と、若い看護師らにエールを送りました。
坂本教授の力強い講演に参加者からは「たくさんの気づきと勇気をもらった」「働きやすい職場をつくることが患者にも優しい看護となる」「みんなで働きやすい職場づくりに取り組んでいきたい」などの感想があいつぎました。
集会終了後、参加者はパレードに出発。「医師を増やせ!看護師増やせ!」「夜勤減らして!」「休みがほしい!」など元気にコール。看護師の切実なうったえに沿道の市民からも「いつもお世話になってます」「がんばって!」と声援が寄せられるなど、処遇改善を市民にアピールするともにわたしたちにとっても大きな励ましになりました。