5月3日(木・祝)の憲法記念日、各地で憲法施行を記念する集会等が取り組まれました。静岡市では同日午後から静岡県憲法会議の主催で「憲法施行71周年記念 憲法を考える市民の集い」が開催され、300人以上の市民らが参加しました。
はじめに静岡自治労連の林克委員長(静岡県憲法会議代表委員)が主催者あいさつをおこないました。林委員長は、1965年、岸信介氏の改憲策動に抗するために静岡大学の鈴木安蔵名誉教授らの呼びかけによって結成された「憲法会議」のルーツについて触れ、「岸氏の孫である安倍首相のもとで再び改憲の策動が強まるいま、憲法会議の活躍のときだ」とあいさつ。3000万人署名の取り組みを含め、いまの情勢にどう立ち向かうべきか、積極的な学習を呼びかけました。
つづいて南スーダンPKO派遣差止訴訟弁護団の池田賢太事務局長(北海道合同法律事務所弁護士)を講師に「自衛隊明記で何が変わるのか―南スーダンPKO派遣差止訴訟から明らかになったこと」と題した記念講演がおこなわれました。
池田事務局長は憲法を考える出発点として憲法13条「すべて国民は、個人として尊重される」(All of the people shall be respected as individuals.)を挙げ、「分割不可能(Individuals)な存在としての『個人』を一番大切にする、人格をもった『個人』がそれぞれ尊重されることが日本国憲法の基本的な価値である『個人主義』だ」と話しました。そして自民党の改憲案はこの「個人主義」を根底から覆そうとしていると述べ、「個性をもったすべての人ではなく、国家・権力者にとって都合のいい人だけを尊重する社会を作り出すものだ」と批判しました。
池田事務局長は南スーダンPKO派遣差止訴訟に取り組んだ経験から、自衛隊がなぜ憲法違反と言われるか、PKO参加5原則の矛盾点、南スーダンの実態と日報隠ぺいのねらいなどについて言及。そのうえで安倍政権がねらう自衛隊の憲法明記について、「個人」よりも「国家」を守るためという政府の意図や、自衛隊法を改正するだけで事実上憲法改正が可能となる点、また、防衛省設置法によって設置された防衛省がより上位の憲法で定められた自衛隊を指揮監督できるのかなどの問題を列挙しました。
また、「自衛隊を憲法に書き込むということは、わたしたちの人権を制約する主体を書き込むのだということを忘れてはいけない」と、わたしたちの自由や人権が制約され、軍事が優先される可能性を指摘しました。
講演の最後に池田事務局長が「わたしたちの社会は『人は本質的に平等であり、みんな同じように尊重される』という確信のもとにできあがっている。その確信が多くの人の共感を呼ぶ限り、日本国憲法は負けるわけがない。もっと日本国憲法のポジティブな部分を広げ、多くの人に伝えていこう」とわたしたちの運動にエールを送ると、参加者は大きな拍手でそれに応えました。
集いの最後に市民連合しずおか事務局長の小長谷保弁護士が登壇。「次の国政選挙では、市民と野党の共闘で、保守王国と言われるこの静岡の政治勢力を変える精一杯の努力をする。ぜひ協力してほしい」とあいさつすると、会場から大きな拍手がわき起こりました。
活動報告