中野晃一インタビュー(2/4ページ)

 ふたつめの質問ですが、安倍さんは9条改憲を打ち出して、具体案を年内には出すと言っていたのですが、これがいろんな作用によって出てきません。
はたして今後どういう風に、安倍さん自体は改憲をはかっていくのかということを、何かコメントをいただければなという風に思います。

中野 わたしの見た感じなので、どこまで正確かはわかりませんが、現状まだ腰が定まっていないという状況ではないかなと思うんですね。というのは、やっぱり忘れてはいけないのが、追い込まれての解散・総選挙だった部分はあったわけです。ある種、博打に打って出て、そして結果的には小池さんに助けられて、博打に成功したというようなところがあるわけです。

しかし、当日のテレビの開票速報からそうでしたが、安倍さんの顔色って、いまに至るまであんまり優れないところがあるわけですね。というのは、やっぱり衆議院の3分の2ということであれば、もちろん解散の前からあったわけで、それが維持できたのはよかったのかもしれないけれども、しかしそれだけでは足りないので解散総選挙に追い込まれたというところがあったわけです。
それが何かと言ったら、もちろん野党を壊さなければならない。そして野党を壊して、多くの国民を諦めさせるということが、彼らにとって非常に重要だったわけです。
それというのは、国民投票に勝たなければならない。――衆参両院で3分の2を取るということは実現した。だから発議はできる、と。ただ、発議をしたうえで改憲まで持っていくためには国民投票をクリアしなければならない。しかしそのためには、世論の支持が現況ではままならない状況にあるということで、それが抜本的な改善はされなかったというところが、大きな問題なんだと思うんですね。なので日程も含めて非常に悩むところなんだろうなと思います。

つい先日、世論調査でも7割の人たちが「来年の改憲に対して反対だ」ということが出ました。それはやっぱり、肌感覚からしてもおそらくそんなものだろうと思います。そのなかで無理に改憲に突入することができるのか、それとも2019年に先延ばしをして、場合によっては参議院選挙といっしょの国民投票というような線でいくのか――しかし2019年ということになると、政治日程が他にもいろいろと混んでいる状況がある――ということなので、なかなかそれについても簡単に決められるものではない。ましてや2019年の段階で本当にまだ安倍さんが政権の座にあるのか、そして支持率がそのとき高いのかと言ったら、それもまた、まったく想定できる範囲のことではないのです。

そういう意味では、支持率の状況、あるいは野党の分断状況・共闘状況というものを睨みながら、来年ももちろん隙があれば急にアクセルを踏んでということは考えているのだと思います。ただ現状では、かならず改憲に持ち込めるというほどの強い立場にあるかと言ったら、そういうことではないんだろうな、と。そういう意味では、わたしたちにとってはまだまだたたかいようがある状況ではないかなと思っています。

 わかりました。

 

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新自由主義化する政治からの「転換」が見えてきた

 

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