機関紙

しずおかの仲間 第157号(2020年2月20日)

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第157号の記事

 

 

 

地域住民のいのち守る病院をなくさないで
「再編・統合」を押しつける厚労省に反発の声

昨年、厚生労働省は「再編・統合の議論が必要」として、424の公立・公的病院名を公表。医療費削減を目的とした一方的な「再編・統合」の押し付けに各地で反発の声が上がっています。静岡県では2月1日、「地域医療を守る学習交流集会」に80人が参加。地域医療構想の背景を学習するとともに、「地域の病院をなくさないで」の思いを交流しました。

 

 

災害に強い自治体をつくろう
災害対応は人員増でこそ 私たちが備えておくべきことを考える

台風15号で被災した伊東市池地区。水田一面が水没して湖のようになってしまっている(2019年9月)

近年、日本各地で異常気象や自然災害が多発し、各自治体ではその対応に苦慮しています。昨年も台風15号・19号が猛威を振るい、静岡県下でも東部を中心に被害があいつぎました。地域住民のいのちと生活を守るため、災害に強い自治体づくりに向けて、わたしたちに何ができるでしょうか。昨年の台風で災害対応に奮闘した仲間から話を聞きました。

 

 

島田市労連 杉岡 一宏 さん (事務職・危機管理課)

あいつぐ大規模水害 見えてきた課題

菊池 お二人が昨年の台風被害を通じて得た経験や感じたことを聞かせてください。
杉岡 自治体職員は、災害時には通常業務に加えて災害対応にあたらなければなりません。被災自治体では初動対応や復旧・復興など、職員の負担が非常に大きなものになります。そうした負担により職員が疲れ果ててしまったときに、いちばん被害を被るのは住民なんですね。
村山 伊東市は台風15号で池地区にある水田一帯が冠水し、大きな被害を受けました。現場では刻々と状況が変化するなかで、わたしを含め職員の多くが大規模水害の経験がなく、何をすればいいのかわかりませんでした。今回の件で、どのように体制を整えるべきかなどのノウハウを事前に学ぶことや、シミュレーションの必要性を考えさせられました。
杉岡 静岡県って地震に対しての備えはきちんとしているんですよ。家屋倒壊ゼロのための施策とか避難訓練とか。でも地震と水害では必要な対応が全然違うんですね。地震は災害が発生してから避難しますが、水害はとにかく事前に行動することが大事なんです。そういった教育を含めて、住民や職員の意識を変えていくことが大切だと思います。

伊東市職労連 村山 和弘 さん (事務職・産業課)

人員・予算・協定など 求められる備えは多様

村山 今回の台風15号・19号のように広域で被害が起こると、復旧工事を行おうにも発注する業者が見つからないということが生じました。また、工事に必要な設計書をつくる業者もほかの自治体からの依頼で埋まってしまっている。工事に関しては土木部門が建設業組合と協定を結んでいたのですが、設計などについては想定していなかったので、そうしたものも事前に結んでおく必要があったのかなと思います。
杉岡 予算がない場合も執行できないですね。
村山 被災現場では復旧が第一なので、「予算がつかないから何もできません」というわけにはいかない。しかし現実問題として予算をどこから持ってくるのか、手続きはどうするのか、いくらあれば足りるのかなど、誰も経験がないなかで大変な思いをしました。
杉岡 これが民間なら決算が合えばいいけど役所はそうはいかない。予備費を使うにしても事前の手続きや議会への報告が必要ですし、役所の財務規則や地方自治法とも合致しない状況のときに、役所の人間としてどうしたらいいのかという問題があります。防災訓練で財政措置のシミュレーションも行ったほうがいいかもしれませんね。

菊池 仁 静岡自治労連 委員長

余裕ある人員体制でこそ 市民に役立つ仕事が可能

菊池 国の「自治体戦略2040構想」では、AIの活用で自治体職員を半数にまで減らそうという議論があります。しかし全国的に災害が頻発
し、いまいる職員ですら対応が追いつかない状況で、さらに職員を減らすことが住民にとって本当にいいことなのかを考えていく必要がありますね。
杉岡 人員が足りないというのは、確かにそうですね。災害時の体制も、あらかじめ決めてはありますが、欠員が生じたときに代わりに誰をあてるかまでは想定されておらず、あくまで基本的な体制しか構築していないんです。それ以上のことを構築しようとすると、職員からも「負担が大きすぎる」という声が上がってしまう。しかし実際に災害が起こるとやっぱり人員は足りなくて、また、避難所の近くに住む職員に任務が割り当てられがちになるなど、職員の平等さも欠けてきてしまうんです。それも踏まえて、職員がいないなかでも、無理な体制や不平
等さがないようにしていくべきだと思います。
村山 災害対応もそうですし、市民のために仕事をするということは、ある程度人員に余裕がないと、今回のような突発的なケースに対応できなくなり、結果として住民から信頼される仕事ができなくなってしまうのではないかと思いますね。

この記事は2020年1月17日におこなった鼎談より、一部抜粋・編集したものです。鼎談の全文はこちら

 

保育園、こども園職場の「働き方」実態アンケート
人員不足の解消は急務

アンケート結果を記者発表

昨年10月の幼児教育・保育の無償化を前に、静岡自治労連保育部会はアンケートを実施。職員の長時間労働や不払い残業の実態が明らかになりました。無償化にともなう子どもの受け入れ増が予想されるなか、実態に即した保育士増が急務となっています。

サービス残業の実態が明らかに

保育部会では、昨年6月から7月にかけて「保育園・こども園職場の『働き方』実態アンケート」に取り組み、自治労連単組の保育所職員1546人から回答を得ました。アンケートでは「働き方改革」が実施された昨年4月の勤務実態について聞きました。その結果、勤務後に残業を行った職員は850人(55.0%)おり、そのうち時間外手当の支給については、「付いていない」324人、「一部付いている」423人、合わせて747人(87.9%)の時間外がほとんど支給されていない実態が明らかになりました。また、仕事の持ち帰りについては、785人と半数以上が持ち帰りをしていると回答しました。
年次有給休暇については、「まったく取得できない」65人、「取得できないことが多い」490人、合わせて555人(35.9%)の職員が取得できないとしています。また、取得しづらい理由については、「職場が回らない」370人が最も多いです。

最も改善したい点は「人員不足」

こうした実態を反映して、職場で改善したい点(複数回答) については、「人員不足」977人が最も多く、「今後も今の職場で働き続けたい
と思いますか」の問いには、162人が「保育の仕事は辞めたい」と回答しています。自由記載には、「保育料無償化に伴って業務増が心配されます。正規雇用を増やすことをまず進めてもらいたい」、「正規職員が少なすぎるので仕事の分担ができず、とてもつらいです」など、深刻な意見が多く寄せられています。

 

 

アンケートを活用して保育士増を

このような実態を放置しておけば、幼児教育・保育の無償化によって子どもの受け入れが増加し、事態はますます深刻化します。保育部会は、アンケート結果を県内自治体に伝え、各組合の予算・人員要求闘争で保育士増を訴えていきます。

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