活動報告

中野晃一氏が静岡の野党共闘前進にエール―「市民連合しずおか講演会」

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10月22日におこなわれた総選挙は、自民党・公明党が3分の2の議席を確保し、改憲勢力全体が衆議院の4分の3の議席を占めたいっぽうで、全国各地で野党共闘が成立し、立憲野党の結束が強まる結果となりました。静岡県においても、「市民連合しずおか」の尽力もあって、3区で野党共闘の無所属候補が自民候補に迫る得票数を得るなど、運動の前進をみました。
静岡自治労連が提起する、「憲法をいかし住民生活を守る」特別な任務を職場・地域から実践し、改憲阻止の取り組みをすすめるうえでも、市民と共同し、いかに野党共闘をすすめていくかが重大な課題となっています。

12月16日(土)には「市民連合しずおか」の主催で、上智大学の中野晃一教授(「市民連合」呼びかけ人)の講演会が静岡市内で開催され、組織の垣根を超えた250人の市民らが熱心に講演に聞き入りました。
はじめに「市民連合しずおか」呼びかけ人の小長谷保弁護士が主催者あいさつ。団体設立や総選挙の経緯を報告するとともに、改憲の問題が本格化する来年に向け、「この静岡で野党統一を果たし、市民の力で政治を変え、憲法改悪を防ぐ運動を展開していこう」と参加者に呼びかけました。

ひきつづき「総選挙後の立憲主義と平和の課題」と題した中野教授の講演がおこなわれました。
中野教授はこの間の核ミサイル開発をめぐる米朝間の緊張の高まりについて、自身の2度の訪米や米国メディアの報道などから、米国が北朝鮮に先制攻撃をしかける可能性は十分に高く、日本が戦争に巻き込まれる可能性あると分析。国際的にも危機感が高まるなか、各国の国家元首や国連事務総長らがトランプ大統領に対して「ブレーキを踏むべきだ」と主張しているのに対し、安倍・河野らが火に油を注ぐようなことを繰り返し、先制攻撃に使える巡航ミサイルの購入など、これを機に日本の軍事化をさらにすすめようとしていることを批判。「武装すればするほど、9条の制約を壊せば壊すほどに日本が安全になるなんていうのは夢物語だ。対話を求めていくとともに、戦争は絶対におこしてはいけないと声をあげていく必要がある」とうったえました。
いっぽうで、こうした北朝鮮の危機が、改憲派が改憲発議をやりにくい状況を生んでいるとも指摘。改憲をおこないたい人たちのなかでもいつ改憲のアクセルを踏むのか状況を伺っている状況だと話しました。

中野教授は自民党・公明党が3分の2の議席を確保するいっぽう、立憲民主党が躍進、希望の党が失速した今回の総選挙結果について、「対米追随型の改革派の勢力を未然に防ぐことができたことが大きい」と評価。これまでは自民党が支持率を落とすもとでも、それに代わる対米追随型の改革派の勢力が国民の支持を持っていってしまったのに対し、「今回は野党共闘が壊されかけながらも首の皮一枚でつながり、立憲民主党が最大与党の座に踏みとどまるなど、攻撃を跳ね返したことは歴史的な意義がある」と話しました。また、市民の応援で躍進を果たした立憲民主党や、共闘のために独自の候補者を下ろした共産党など、これまでの運動の蓄積がなければ絶対にできなかったことだと評価。「最大の教訓は、市民と野党がいっしょにつながることだ」と話しました。

今後の野党共闘の展望については、「めざすものは野党の共闘であり、政党の一本化ではない」と強調。躍進した立憲民主党がふたたび時代遅れの二大政党制に向かおうとするのか、それとも立憲主義を前提として安保法制を廃止する共闘を広げるのか、市民からの働きかけが重要だとうったえました。
また、この間市民のねばりづよい働きかけにより、一進一退ながらも野党共闘を積み重ねてきたもとで、「市民社会が変わり、また、政党政治の一部さえ変わってきている。野党共闘は困難ではあるが実現可能だ。そのためには、それぞれの政党が異なる綱領や政策を持つことを前提として、お互いをリスペクトしあうことが大前提だ」と、他者性を前提とした共闘における「リスペクト」の重要性をうったえました。

最後に、「来年も平和や憲法の課題で厳しい状況がつづくが、この間の運動が財産となって成果があらわれつつある。次の選挙では静岡でも一本化を果たし、他の地方から『静岡モデル』と呼ばれるような成果があがるとうれしい。皆さんの取り組みをわたしたちの力にしたい」と静岡における野党共闘の前進にエールが送られました。

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