西日本豪雨災害支援ボランティア参加者による座談会(5/7ページ)

伊藤 ここにいる皆さんは、ボランティアに抵抗なく参加された方々だと思いますが、なかには「ボランティアには抵抗がある」という人もいると思います。そうした方々や、またはこれからボランティアに参加される人たちに何か伝えたいことはありますか?

西澤 ボランティアに抵抗がある人って、「自分が行ってもたいした力になれないから、自分が行ったところでそんなに手伝えないからいいや」って人が多いと思うんですよ。でもボランティアって、自分だけの力じゃなくて、周りの仲間一人ひとりの力が集まってこそできることなので、自分が参加することに意義があるんだっていうことを、みんなに知ってほしいと思います。
自分も「自分が行ったところであんまり力にはなれないかな」って思いながら行ったんですけど、実際にボランティアに参加してみて、「自分一人の力じゃなくて、周りの仲間がいてくれたからできたんだな」って実感しました。それこそ1日目の作業が家のなかに入り込んだ泥をかき出す作業で、半日がかりで一部屋分の泥を全部かき出したんですよ。それで「自分も手伝えているんだな、自分の力も役に立っているんだな」っていうのを実感できました。自分の力も被災地の役に立つんだってことを知ってもらえれば、ボランティアに参加する人も増えるんじゃないかなと感じました。頑張りすぎて自分が倒れちゃ意味がないんですけどね。

伊藤 倉本さんはどうですか?テレビがきっかけって言ってましたが、実際に行くまではボランティアに抵抗があったりしましたか?

倉本 ボランティアに対する抵抗というか、テレビで見ているだけで、本当にこれでいいのかなっていう思いがありました。実際にボランティアに行ってみて、2日間で作業できた時間はそんなにないし、本当に微々たる力だったかもしれないけど、それでも行ってみてよかったです。実際に行ってみないと被災地の状況もわからないし、今後、自分が災害に遭ったときのために気をつけておくべきことにもつながると思います。

伊藤 自分が災害に遭ったときのことを考えるために、ボランティアに行ってみるのもひとつの手段ですね。わたしもボランティアに興味はあったんですが、募集要項に「力仕事」って書いてあるのを見てひるんでしまって、結局行けなかったんですけど…。

福島 女性もいたよね。

杉岡 結構いたねえ。

倉本 いましたね。

杉岡 復興はまだ全然終わってないですから、ぜひ参加してみてください。

伊藤 そこで一歩踏み出すのって、なかなか勇気がいるんですよね。

杉岡 そうやって構えちゃうと駄目だと思うんですよね。きっかけは何でもいいと思うんです。たとえば、不謹慎かもしれないですけど、広島だったら「お好み焼き食べたいから行ってみようかな、ついでにボランティアもやってみようかな」くらいでもいいと思うんです。「自分は支援に行くんだー!」というよりも、それくらいの軽い気持ちで行ってみてほしい。実際に被災地で一人ひとりができることなんて微々たるものだけど、そうしたものが積み重なれば物事もすすんでいく。じゃあ、積み重ねるためにはどうしたらいいかって言ったら、みんなが軽い気持ちで参加してくれたらいいと僕は思います。みんな食べたよね?お好み焼き。

福島 めちゃめちゃ食べましたね(笑)

杉岡 動機はそれでいいと思うんですよ。ただ、現場ではちゃんと気持ちを切り替える。そこは被災地で人が亡くなったところでもあるし、そういったことをちゃんと考慮してくれれば、僕はいいと思います。

伊藤 ありがとうございます。

梶井 福島さん、職員派遣でり災証明書発行の仕事をしたって言ってましたが。

杉岡 1日何件くらいやった?

福島 1日で10~11件くらいでした。それこそ僕らが行ったのは、ものすごく暑い時期で、当初は朝8時から夜8時までやる予定だったんですけど、実際には午後3時には「倒れるから帰ってこい。やる人がいなくなると困る」って連絡が来ていました。呉市ってわりと広い市なので、起点の市役所から現場に行くのに40~50分かかる。それを10班くらいの体制でやっていました。移動時間が長いのもあって、全然終わらなかったですね。僕らが行ったときも、現地の職員は2週間休みなしで働いていましたよ。

杉岡 り災証明書って保険の査定にも影響があるんでしょ?

福島 そうです。僕らが行ったときは発行業務までは手が回っていなくて、調査だけでした。ぜひ課税課の方に行ってほしかったですね。

伊藤 またボランティア行く機会があれば、行ってみたいですか?

杉岡 それこそいま行ったほうが効率いいですよ。涼しくなったので。

伊藤 いまでも泥のかき出し作業をやっているんですか?

杉岡 岐阜も西日本豪雨で被災していて、そこではまだ床下の泥出しをしているって聞きました。

伊藤 岐阜の被害とかはニュースでもあまり聞かなかったですね。

杉岡 報道の多いところにだけボランティアが集まるんですよ。実際はそれ以外の地域でも被災しているんだけど、それが報道されないから、ボランティアも集まらないんです。ニュースで報道されている時期に、報道された場所にだけボランティアが集中して集まって、それ以外の地域には行かないから、いまでも全然ボランティアが足りていない状況があります。

伊藤 アンテナを高く持ちたいですね。

杉岡 伊藤さんに逆に質問ですが、こういう話を聞いて、ボランティアに行ってみたいと思いますか?

伊藤 「行ってみたいな」とは以前から思っていたのですが、最後の一歩がなかなか踏み出せないんですよね。

杉岡 最後の一歩を踏み出せるきっかけって何なんでしょうね。年に何回か国内旅行に行くんだったら、そのついでに被災地に足を伸ばして、「ボランティアに参加してみようか」ってなるといいんですけどね。

 

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