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下田市議会における、佐々木清和議員の不当な公務員批判発言に対する抗議声明(声明)

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昨年、下田市議会12月定例会において佐々木清和議員は、英国の『パーキンソンの法則』を用い、「公務員が増えると手続きが増える、税金が上がる」、「職員は長く働くほどお金がもらえると解釈し、仕事の時間を伸ばそうとする」など、下田市職員の働く実態と乖離した不当な発言を行いました。(YouTube「下田市議会公式チャンネル」にて視聴可能。視聴はこちら
このことに対し、下田市職は1月25日、下田市議会議長に対して「申入書」を提出しました。静岡自治労連は、佐々木議員の発言は、下田市だけでなく県内全域や全国に影響する問題して下記のとおり強く抗議します。

 

下田市議会における、佐々木清和議員の不当な公務員批判発言に抗議する

2022年2月7日
静岡自治体労働組合総連合
執行委員長 菊池 仁

佐々木清和議員は、下田市議会12月定例会の一般質問において、不当な公務員批判によって、コロナ禍で奮闘する市職員の心情を傷つけ、いたずらに住民と公務員の対立を煽る発言を行いました。
現在、コロナ危機や頻発する災害によって、公務公共サービスの拡充が多くの住民から求められています。しかし、議員の発言がそのまま実施されれば、職員の適正な配置がされず、住民サービスの低下を招き、住民のいのちと暮らしを守る自治体の役割が果たせなくなります。
静岡自治労連は、議員の発言は、一地方自治体のことだけでなく県内全域に悪影響を及ぼし、ひいては全国にも影響を及ぼす重大な問題であると考え、強く抗議し下記のとおり反論します。

第一に、議員が用いた『パーキンソンの法則』は、1950年代のイギリス植民地における官僚制の傾向から得られた経験を基にした法則であり、これが直ちに日本の地方自治体の普遍的な法則として当てはまるかどうかは検証されていません。
その上で、パーキンソンの『第一の法則』による「労働者が増えても同じ仕事を同じ時間でこなす状況がみられる」については、仕事量と職員の労働強度との関係が検討されておらず、年々高まる仕事に対するリスクや責任が、職員の減少によってどれだけストレスになっているのかが想定されていません。
また、『第二の法則』を用いて「公務員が増えると手続きが増える。公共サービスの向上にはならない」については、そもそもこの法則は財政の悪慣行について述べたもので、公共サービスの質とはまったく関係なく、議員の言う「公務員が減少すれば、国民の無駄な手続きが減り、税金が下がる」という因果関係は導き出されません。
 さらに、歴史的事実を見れば、パーキンソンの影響を受けたサッチャー政権は、1980年代に公務員削減を押しすすめ、イギリスにおける公共サービスの質を大幅に低下させました(デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義』参照)。

第二に、議員の「職員は労働時間が長いほど残業代が増えるので金銭的なメリットが享受できる。長く働くほどお金がもらえると解釈してしまい、無意識に仕事の時間を引き伸ばそうとする心理が働く」については、あたかもそのような事実が一般的なような発言ですが、何の根拠も示されていません。
現在、サービス残業・過労死が全国的に問題となり、「働き方改革」よる長時間労働解消が官民の職場で取り組まれています。しかし、頻発する自然災害やコロナ危機で自治体に求められている役割は増大し長時間労働が余儀なくされているのが職場の実態です。こうした状況がある中、何の根拠もなく、職員が個々の利益のために残業をしているとする発言は、誇りを持って働く職員を貶める発言として到底容認できるものではありません。

第三に、議員の「今のゆるゆるな状況を変えていく、まず市役所から変わってほしい」については、何を持ってそのような状況があるとしているのかまったく説明されていません。
『パーキンソンの法則』を持って公務員の働き方を断定するのであれば、それを立証すべきです。それもなく『パーキンソンの法則』が公務員の一般的な行動のように解釈し、公の場でそれを発言することは無責任としか言わざるを得ません。

以上の理由から、佐々木議員の発言は、国が押し進める「行政改革」による公務員削減を補強し、職員の過密労働・長時間労働を助長するものであり断固抗議します。
同時に、この不当な発言に対する取り扱いを下田市議会として議論し、正当な判断を示すよう強く求めます。

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